【アウディ A4アバント 試乗】MもBもVも、一気に置き去りにする先進感と上質さ…青山尚暉

試乗記 輸入車
アウディ A4アバント 2.0TFSI スポーツ
アウディ A4アバント 2.0TFSI スポーツ 全 16 枚 拡大写真

日本ではワゴン比約45%に達するアウディ『A4』のワゴン版、『A4アバント』の9世代目が上陸した。

【画像全16枚】

ボディサイズを拡大しながらFFで1580kgというクラス最軽量(先代比-50kg)の車重とCd値0.26のこれまたクラストップレベルの空力性能を備え、よりすっきりしたスタイリングを得たA4アバントは、純粋なガソリン車にしてクルマの未来を強く感じさせる1台だった。

内外装の上質な仕立ての良さはアウディの大きな持ち味だが、運転席に座り、2リットルターボ、190psのエンジンを始動させると、まずふたつの驚きがある。

ひとつめはガソリンエンジンらしからぬ無類の静粛性。そしてアウディバーチャルコクピットと呼ばれる12.3インチの高解像度液晶フルカラーディスプレイの美しさとバーチャルな機能だ。A4のユーザーは日々、このふたつの感動を味わえるのだから幸せである。

アウディバーチャルコクピットはマトリクスLEDヘッドライトパッケージに含まれる34万円のオプションだが、新型A4らしさの象徴とも言えるので、ぜひとも選択したいと思わせる。左右2連メーターの大きさの変更など自由自在。ワイドな液晶画面全体をナビ画面にすることもでき(出発点と目的地を1画面で表示可能)、その先進感は下手なEV、HV、PHVよりずっと高いのだ。

走りだせば、225/50R17サイズのタイヤを履く乗り心地は夢のように滑らかで心地良い。いつもの路面にまるでカーペットが敷かれたかのようだ。アイドリング状態で感動できる静かさは、走りだしてからも維持される。とにかく、巡行中はもちろん、アクセルを軽く踏み増すようなシーンでも素晴らしく静か。大げさに言えば、全域の静粛性はHVに近い。

つまり、2リットルターボ、32.6kg-mがもたらす軽やかでウルトラスムーズかつトルキーな加速力が、無粋なノイズ一切なしに発揮される。もっともクルマは例えばエンジンノイズを封じ込めると、車内が静かになったぶん、ロードノイズか目立ってしまったりするが、A4の場合、そのロードノイズまでもがしっかりと遮断されているのだから文句なしというわけだ。

音楽、オーディオ好きのドライバーなら、バング&オルフセンの3Dアドバンスドオーディオ(17万円)を注文する意味、価値は十二分にある。

そんな恐ろしく静かなA4アバントは、聴覚に優れた犬を乗せるにも適している。ボクの知る限り、A4アバントユーザーの多くが愛犬家であり、後席やラゲッジに犬を乗せているケースが多いのだが、新型のペットフレンドリー度はどうだろう。

ラゲッジの開口部地上高は約640mm、開口部段差45mmで、ジャンプ力のある大型犬ならまずまず乗りやすい高さ(先代同630/45mm)。フロアの幅方向は先代と同じ1000mmだが、奥行きは通常時、後席拡大時それぞれ30mm増しだから、大型犬でもゆったりくつろげる極上の空間と言える。

うれしいのは標準装備のラゲッジフロアカーペットがリバーシブルになっていて、表面は豪華なカーペット、裏面は汚れに強く汚れをふき取りやすい樹脂素材になっているのがポイント。さらに後席用エアコン吹き出し口には独立温度調整機能もあり、1年中毛皮を着ている暑がりの愛犬が乗る後席以降の空調温度を低めに設定することも可能なのである。

そんな新型A4アバントは、競合ライバルを一気に古臭く見せるほどの先進感と上質さに溢(あふ)れた、家族や愛犬を幸せにしてくれる、とびっきりのステーションワゴンだと思えた。MでもBでもVでもない選択は粋である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。

《青山尚暉》

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