【アルファロメオ ジュリエッタ 試乗】クルマを停めるたびに振り返って眺めたくなる…島崎七生人

試乗記 輸入車
アルファロメオ ジュリエッタ QV
アルファロメオ ジュリエッタ QV 全 24 枚 拡大写真

そもそも論だが、アルファロメオの価値基準は“人からどう見られるか?”よりも“乗り手がどれだけいい気分を味わえるか?”にある。『ジュリエッタ』と車名からしてロマンティックなこのクルマも、もちろんその点での資質は十二分だ。

何しろ走り出した瞬間からゴキゲンである。2015年に6速TCT(デュアルクラッチ)との組み合わせでラインアップに再設定された「QV(クワドリフォリオ・ヴェルデ)」は、あの『4C』も搭載するアルミ製シリンダーブロックの“1750”ユニットを搭載。ターボが組み合わせられスペックも240ps/340Nm(Dynamic時)と秀逸だ。

2ペダルながらもキモはコンソールの“dnaスイッチ”にあり、長押しで“d”にポジションを変えると、その瞬間から力強い加速とキレッキレのパワー感をこれでもか!と味わわせてくれる。けれど決して粗野ではなく、あくまでジェントルにドライバーの感性に寄り添うように性能を発揮してくれるところがいい。

また、もしも初期のQVをご存知なら、乗った瞬間から「音が違う!」とお気付きになるはず。最新モデルにはドイツ・マーレ社の「サウンドジェネレーター」が組み込まれており、これがエンジンの吸気脈動を利用、共鳴音を増幅させながら、まるで昔のキャブレター時代のクルマのような小気味いいサウンド(吸気音)を楽しませてくれる。

エンジンルームを覗くと、ダクトがバルクヘッドのほぼ中央から室内側に引き込まれており、ここから“快音”が聞こえるようにしてある。じつはレポーターは『164』『GTV』『156』『166』(×2台)と5台を乗り継いだが、いずれもV6エンジンのスウィートな音と鼓動に惚れ込んだからだった。QVの1750ユニットの“鼓動”は、かつて『155』以降に搭載された4気筒ツインスパークのあの瑞々しい回転フィールに逞しさを加えた印象で、たいへん心地いい。

サスペンションは現代的に引き締まってはいるが、走り込めば、FF化されて以降の近年のアルファロメオらしいしなやかな身のこなしと、ヒタッとやさしいタイヤの接地感が味わえる。ステアリングも操舵力はやや重めだが、切っていく際のしっとりとした感触と反応もアルファロメオならではだ。ボディの剛性感もまったく問題はない。

QVはルーフライニングを含め黒基調の室内にまとめられている。ここにナチュラルレザー(タン色、メイン部はパーフォレーション入り)のシートが挿し色として備わり、身を委ねればスポーツカーらしい包まれ感のある居心地が味わえる。後席、ラゲッジスペースは実用的だから、十分に快適な乗り心地とともに、かつて『147』や『156』がそうだったように、ファミリーカーとしても十分に通用するはずだ。メーターパネル中央(とフロントフェンダー)の、幸せを呼ぶ緑の四つ葉のクローバーもQVだけのあしらいだ。

それともうひとつ、どこから見ても妖艶で饒舌で情感にあふれたスタイリングは、やはりアルファロメオならではの味わいどころだ。試乗車を借り受けて数日間過ごしたが、その間じゅう、クルマを停めるたびに振り返って眺めたくなる…そう実感したことをご報告しておこう。

なお今なら限定車「DIVINA(ディビーナ)」という選択肢もある。通常の1.4リットルモデル(スポルティーバ)をベースに、通常は“キットホイール”としてオプション設定の18インチ・アロイホイールを専用に装着したうえ、10万円のプライスダウンが図られたというモデルだ。レザーシート(ブラックまたはナチュラル)も備え、『ジュリエッタ』の世界観をしっかりと味わえる1台として見逃せない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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