【パワーアンプ攻略法】サウンドに余裕を与える? 情報量、解像度、その選び方

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本格的なシステムを組もうと思うなら、『パワーアンプ』は欠かせない。その超重要アイテムについての“攻略法”を研究していこうと思う。毎回プロに取材しながら、選び方から使いこなし方までを考察していく。初回となる今回は、「必要性」と「選び方」を深掘りする。

■今回の講師は、“SOUND EXPRESS マツデン”(愛知県)の熊谷さん

今回は、愛知県の老舗カーオーディオ・プロショップ“SOUND EXPRESS マツデン”のベテランインストーラー熊谷さんに、講師役をお願いした。まずは改めて、“パワーアンプ”が必要な理由から教えていただいた。

「最近のハイエンド・メインユニットは、内蔵アンプの性能が上がっています。なのでそれらを使う場合には特に、外付けパワーアンプを導入しなくても、とりあえずは不満に思うこともないでしょう。でも、外付けパワーアンプを導入すれば、さらに音が良くなることもまた事実です。特に、低域のパワー感と、全体的な解像度に大きな違いが出てきます。

内蔵アンプが優秀だとはいっても、サブウーファーを鳴らすためには外部パワーアンプが必要です。低域を鳴らすには、大きなパワーが必要なんですね。ドアのミッドウーファーを鳴らすにしても、低域を鳴らし切るには力が足りない、というのが実情なんです。

ですので、パワーアンプを導入すれば、まずは低域にハリが出ます。サウンドの腰が座って、安定感が出てきます。情報量も増えますから、空間表現が向上します」

さらには、次のようにも教えていただいた。

「クルマのエンジンと似ているところがありますよね。100km/hのスピードで走ろうとしたとき、軽カーと3リットルエンジンのクルマとでは、安定感、快適性が全然違います。追い越しをしようとしてそこからアクセルを踏み込めば、3リットルエンジンのクルマは楽に加速ができますが、軽カーではそうはいきません。オーディオでも同じようなことが言えます。パワーに余裕があれば、瞬間的に大きな力を必要とするときにも対応できますし、音に余裕が生まれるんですよ」

■試聴する際には、“力強さ”、“解像度”、“空間表現力”に特に注目!

次には、“選び方”についてお訊きした。最初に、カタログスペックの見方について教えていただいた。

「カタログを見るとさまざまなスペックが載っていますが、どの数字も、過剰に気にする必要はありません。

もちろん、スピーカーをしっかりと止める力(ダンピングファクター)であったり、静けさを表す数値(S/N比)や周波数特性など、気になる数字はあります。そして、それぞれが良いに越したことはないのですが、取り敢えずは参考程度に留めておけば良いと思います。

例えば定格出力に関しても、数値が大きいほうが音に余裕が出ますし、高級なスピーカーと組み合わせるのであれば、力のあるアンプで鳴らしたほうがスピーカーの性能を十分に引き出せます。しかしながら、“パワー=高音質”とも限らないのです。スペックありきでアンプ選びをする必要はありません」

では、どのようにして選ぶと良いのだろうか。

「試聴して、音の傾向で好みのモデルを探していくのが良いと思います。

プロショップが開催する試聴会等のイベントを、見逃さないことが重要です。店頭のデモボードで聴けるモデル数には限りがありますから、試聴会イベントはとても貴重な機会です。それらに積極的に参加して、数多くのモデルを聴いてみると良いと思います。

また、入場制限のないタイプのサウンドコンテスト等のイベントでも、メーカーやショップのデモカーの音をたくさん聴くことができます。チャンスがあればそれを逃さず、いろいろ聴いて、お気に入りを見つけてほしいですね。

試聴する際には、“力強さ”、“解像度”、“空間表現力”に注目すると、性能差を聴き分けやすいと思います。これらは、パワーアンプによって差が出てくる部分でもありますから」

ところでパワーアンプは、2chモデルや4chモデル等々、ch数のタイプ違いが存在している。それについてもお訊きした。例えばフロント2ウェイをマルチドライブさせようと思ったとき、“2chモデル2台”と、“4chモデル1台”、どちらを選択すると良いのだろうか。

「価格にもよりますし一概には言えませんが、“4chモデル1台”のほうが現実的ですね。予算的にも取り付けスペース的にも、4chモデルのほうがもろもろが合理的です。消費電力の問題もあります。消費電力の大きいモデルであれば、2台導入するとなると、サブバッテリーが必要になるケースも出てきますし。

ただし、音にこだわるのであれば、2chモデルのほうが有利です。電源部が強力になる傾向がありますので、駆動力が上がって音にメリハリも出てきます。サウンドコンペを目指すような場合には、2chモデルでシステムを組んでいくほうが良い結果を得られやすいのではないでしょうか」

高音質を追求する方は、2chモデルに要注目だ。

さて、いかがだったろうか。まだ外部パワーアンプを使っていないのなら、サウンドに余裕を与え、そして、情報量、解像度を上げてくれるパワーアンプの導入を、ぜひとも検討してみよう。そして、自分好みのモデルを探すところから、大いに楽しんでいただきたいと思う。試聴会情報等をマメにチェックして、出会いの機会を増やすことがコツだ。

次回以降は、使いこなし術の解説に入っていく。システム構築法や、セッティング等々について順に解説していく予定だ。お楽しみに。

本格システムを組むのなら、コイツの力が必要だ!『パワーアンプ』その“攻略法”を大研究! 第1回「必要性と選び方」

《太田祥三》

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