【サウンドチューニング・マニュアル】DSPを用いて行うクロスオーバー調整、“正相”と“逆相”を極める

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品
「クロスオーバー調整」画面の例。by レインボウ・DSP1.8 + WiFi Module
「クロスオーバー調整」画面の例。by レインボウ・DSP1.8 + WiFi Module 全 1 枚 拡大写真

カーオーディオの楽しむべきポイントの1つである、「サウンドチューニング」について掘り下げている当コーナー。今月は、「DSPを用いて行うクロスオーバー調整」と題してお届けしている。今週はその最終回だ。少々難しい話となるが、“位相”をテーマにお贈りする。

「クロスオーバー調整」を実行するとき、“正相”と“逆相”の選択を行うことになるのだが、これについて解説していこうと思う。

ところで、“位相”とは何なのか…。ひと言で言うのならそれは、“音波の周期”のことを指している。音は空気中を、“周期”を繰り返しながら伝わっていく(ちなみに、音の“周期”は、“波長”とも言われる。低い音は“1波長”が長く、高い音は“1波長”が短い)。

そして“正相”とは、“周期”がゼロからスタートする状態であり、“逆相”とは、“周期”が180度のところからスタートする状態のことを指す。両者は、“位相”のタイミングが真逆なのだ。

さて、なぜ「クロスオーバー調整」では、“正相”と“逆相”とを選択する必要が出てくるのだろうか…。それは、「スロープ」を変更することで、“位相”のタイミングが変化してしまうから、である。

音の出所が1つならば“位相”のタイミングが変化しても問題がないのだが、出所が2つとなると問題が起こり得る。両者の“位相”のタイミングはズレてはいけないのだ。

トゥイーターから発せられる音と、ミッドウーファーから発せられる音の、“位相”がズレると、音はエネルギー感を失ってしまう。逆に、“位相”のタイミングがピタリと揃うと、音からエネルギーが感じられるようになる。向かってくる感じが強まるのである。

というわけなので、「スロープ」を変えたときには必ず、“正相”と“逆相”を切り換えて音を聴き比べる必要がある。そして、音にエネルギー感が出てくるのはどちらなのかを判断しなくてはならない。

もしも“正相”と“逆相”を切り換えて違いが感じられなかったとしたら、その状態では“位相”のズレ幅が、どっちつかずの状態になっている、と判断できる。そうであったなら、「スロープ」を1段階変更してみよう。そして再び、“正相”と“逆相”を切り換えてみる。違いが大きくなったらしめたものだ。よりエネルギーを感じられるほうが正解だ。そちら側を選択することで、“位相”が合った状態を作り出せるのだ。

“位相”が合っていない「クロスオーバー調整」は、失敗だ。「クロスオーバー調整」は、“位相”が合って初めて、完成したと言えるのだ。

いろいろと試してみると、音のエネルギー感の有る無しを感じ取れるようになるはずだ。「習うより慣れろ」の精神で、経験値を上げていこう。“位相”の管理が上手に行えるようになれば、貴方はもう、「サウンドチューニング」の上級者だ。

【サウンドチューニング・マニュアル】「クロスオーバー」編 Part.13 「DSPを用いて行うクロスオーバー調整 その7」

《太田祥三》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ヤマハの3輪スクーター『トリシティ』が進化! SNSでの注目は「デザイン」と「屋根が付くか」
  2. 「じゃじゃ馬っぽくていい」ホンダ『ヴェゼル RS』先行公開に早くも反響! デザインと性能に注目
  3. 「本気の電動二輪が出てきた」ホンダ初のフルサイズEVバイク『WN7』発表にSNS沸く
  4. 新型取締機「JMA-520/401」に対応、セルスターがコンパクトな一体型レーダー探知機を発売
  5. ホンダ初のフルサイズ電動バイク『WN7』発表、航続130km…2026年欧州発売へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る