世界遺産が期待する1時間30分、新造船「おがさわら丸」「ははじま丸」の就航

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7月1日から小笠原父島~母島を就航する新ははじま丸
7月1日から小笠原父島~母島を就航する新ははじま丸 全 1 枚 拡大写真

この7月、東京都の小笠原諸島と本州を結ぶ新造船の就航が相次ぐ。1日には小笠原村の父島と母島を結ぶ「新ははじま丸」が、2日には父島と本州を結ぶ「新おがさわら丸」が就航する。

小笠原村の森下一男村長は「交通アクセスを唯一船に頼るしかない小笠原にとっては、この上ない喜び」と、就航を歓迎する。

現在の小笠原航路は東京港竹芝客船ターミナルを朝10時に出発し、父島に翌日朝11時30分に到着する。片道25時間30分の船旅ゆえに、日本一贅沢な旅とも言われている。その旅路を新おがさわら丸は片道1時間30分短縮する。

観光客を迎える小笠原村にとっては、この1時間30分が、本州からの観光客をより広げるきっかけとなる。新おがさわら丸では東京港からの出発を1時間遅らせて11時に、父島からの出発を14時から15時30分に変更した。この乗船ダイヤは小笠原村が、観光振興のために船を就航する小笠原海運などに要請した。その狙いを渋谷正昭副村長が解説する。

「短くなった1時間30分をどう使うか。その余裕ができることで、小笠原にやってくる関東圏中心の観光客層が、さらに中京圏や関西圏にも広がることを期待する」

それはなぜか。小笠原航路は1隻のおがさわら丸、全行程6日間で往復する。

「1時間30分遅く出発することで、遠方から東京港を目指す観光客でも、当日出発で日程を組み、7拍6日を5泊6日に短縮できる場合も出てくる。また、帰りは島内により長く滞在してもらえることで、帰路当日もゆっくり観光を楽しんでもらうことができる」(渋谷氏)

17日、新おがさわら丸は下関造船所から東京港へ向かい、貨客船としての正式承認を得るために回航中だ。総トン数1万1000トン、現行船より4300トン増、速力23.8ノット、旅客定員892人と、すべての面で大きくなった。それに伴い、父島と母島を往復する新ははじま丸も定員を32人増やし200人に大型化し、小笠原の期待を担う。新ははじま丸は同日、東京港で関係者へのお披露目もすませた。

東京港と父島二見港、母島沖港の乗り場も、船舶の大型化に伴い改修済みだ。小笠原の準備は万端だ。

「10年の世界遺産登録で観光客は増加。一時の盛り上がりから落ち着いた感はあるが、新造船の就航で再び増えることを願っている」(前同)

《中島みなみ》

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