【ルマン24時間 2016】王座奪還狙うアウディ、勝負のカギはエアロダイナミクス

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
アウディ プレスカンファレンス(ルマン24時間 2016)
アウディ プレスカンファレンス(ルマン24時間 2016) 全 8 枚 拡大写真

17日に決勝を控えたルマン24時間耐久レース。ポルシェ、トヨタ、アウディのLMP1ハイブリッドクラスにおける対決は、どのチームが制するのか。

アウディ勢は、昨年の雪辱を果たすべく、マシンの改良に注力してきた。プレスカンファレンスで登壇したアウディスポーツ代表のDr. ウォルフガング・ウルリッヒは、「15年はその前年のマシンをベースにしたが、『R18』は全く別の新型車として開発を進めてきたもの」とし、大きなステップアップのシーズンになると位置づける。エアロダイナミクスの最適化、パッケージングの改良をはかったことで、燃料消費量は従来比で10%削減された。トランスミッションも、7速から6速に変更し軽量化している。

今回のレースで注目すべきは、1周あたりの最大エネルギー放出量の違いだ。トヨタは、搭載エンジンを3.7リットルのV8自然吸気から2.4リットルのV6直噴ツインターボに変更。エネルギー放出量を昨年の6MJから8MJに向上した。ポルシェも放出量は8JM。2リットルV4エンジンやボディはさらなる軽量化がはかられ、燃費効率をアップしたという。対するアウディは、4.0リットルV6ディーゼルターボ(TDI)エンジンを搭載し、6MJクラスに切り替えた。

ガソリンエンジンより重いディーゼルを積むアウディは、車両車重を規定の875kgに抑えるため、独自のハイブリッドシステムを採用し出力を6MJに設定した。2MJの違いは不利にならないのだろうか。ウルリッヒ氏は「レギュレーションでは理論上6MJと8MJの差はないことになっているが、実際には歴然とした差があるので、意識はしている。そこはエアロダイナミクスで打開するべく努力してきた。我々は一番効率のよい内燃機関はディーゼルエンジンだと考えており、モータースポーツの見地を量産車に反映することに重きを置いている。10年間の開発を経て、TDIエンジンは導入から46%も燃費効率が向上した」と話す。

24時間の耐久レースでは天候の変化にも対応しなければならない。予選はウエットコンディション、前日の16日もスコールのような大雨が突然降り出す時間帯があった。そこで肝となるのもエアロダイナミクスだ。「色々な天候に合わせて開発してきたが、雨天時はやはりダウンフォースがより必要になってくる。R18はダウンフォースを強めても今まで以上に効率のよいものに仕上がっているはず」(ウルリッヒ氏)だという。

予選では5・6番手に終わったアウディだが、長丁場のレースでは何が起こるか誰にも予想はできない。最後にウルリッヒ氏は「量産化へのフィードバックを行うため、レースから学んで限界まで挑戦する。経験値を積むことで、都会で走る車にも使える技術を蓄積できていると思う。そしてこれからも我々はモータスポーツの歴史を刻み続けて行く」と語った。

《取材協力・アウディジャパン》

《吉田 瑶子》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. メルセデスベンツの主力SUV『GLC』、新型を9月に世界初公開へ
  2. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  3. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  4. カワサキ『Ninja ZX-25RR』を日本初導入、価格は105万2700円 スタンダード版「25R」は廃止
  5. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る