【MINI クラブマン 試乗】JCWを除けば一番高いミニ「ALL4」…中村孝仁

試乗記 輸入車
MINI クラブマン ALL4
MINI クラブマン ALL4 全 16 枚 拡大写真

MINIの4輪駆動車といえば、現状は『クロスオーバー』にしか設定がなかったが、新たに『クラブマン』にも設定された。システム自体は基本的に同じオンデマンドタイプである。

【画像全16枚】

では何故、敢えて「クラブマンALL4」に乗る必要があるかという点だが、それはシャシーが違うから。である。ご存知のようにハッチバックからクロスオーバーまでのミニは、UKL1と呼ばれるプラットフォームを使っているが、クラブマンだけはUKL2プラットフォームを用いている。この影響から、クラブマンだけは車幅が広く、車両全体も大きい。ホイールベースはクロスオーバーと比較しても75mm拡大された2670mm。これはBMW 『2シリーズアクティブツアラー』や『X1』と全く同じ。シャシーがこちらと同じだからだ。当然ながら室内空間は全ミニ中、最大。と、ここまで書けばクロスオーバーALL 4とクラブマンALL 4が異なるクルマであることがわかって頂けると思う。

用意されるエンジンはガソリンの2リットルツインパワーターボのみ。最高出力192ps、最大トルク280Nmを持つ。単純に同じエンジンのクラブマンと比較すると、車両重量は80kgも重いから、運動性能に影響があることは必至である。

しかし、人間の感性などは知れたもので、単体で乗ればこのクルマのパフォーマンスが低いとはまるで感じない。つまり、クラブマン・クーパーSに乗った直後にクラブマン・クーパーS ALL 4に乗れば、その差を実感できるのだろうが、そうでない限り、単純に試乗して、ん?アンダーパワーだな…とはならないわけである。

フリクションにしてもしかり。基本オンデマンドタイプのシステムは、通常は完全なFWD車として機能し、必要に応じてトルクを後輪に分配するシステム。その配分は100~0から0~100まで。もっとも、前後輪はトルク配分がなくても常に繋がっているわけだから、当然それなりのフリクションはあって、そのフリクションと重さの影響で、JC08モード燃費は、FWDモデルの16.6km/リットルに対して、14.9km/リットルと分が悪い。しかしながら常に最適なトルク配分をクルマが決定してくれるから、路面の如何に関わらず、安心してドライブすることが出来ることも確か。これをベネフィットとしてとらえることのできるユーザーは、こちらをチョイスすべきというもの。

因みにお値段の差は384万円対410万円で26万円の差。ベース価格410万円は、一部のジョンクーパーワークスモデルを除けば、ミニブランド中最高価格。これにオプションをあれやこれやつけると、あっという間に乗り出し価格は500万円を超える。

正直なところ、都会でALL 4の恩恵にあずかれるのは極端の豪雨の時とか、稀に降る雪の時程度で、もっぱら積雪地帯で威力を発揮するモデルと思われた。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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