デンソーの人工知能プロジェクト…ADAS研究における立ち位置

自動車 ビジネス 企業動向
AI R&Dプロジェクト
AI R&Dプロジェクト 全 4 枚 拡大写真

ADAS(先進運転支援システム)、その延長にある自動運転または自律走行技術において、カメラ画像や3次元スキャナーのデータを分析・認識するため、人工知能技術が注目されている。デンソーも独自にこの技術を研究しており、自社のADASに積極的に適用している。

ここでいう人工知能技術は、具体的には機械学習およびディープラーニングと呼ばれるものだ。これらの技術に欠かせないのがニューラルネットワークという計算技術。ニューラルネットワークというのは、人間の脳細胞(ニューロン)を模したもので、従来のコンピュータのようにデータを数値で評価するのではなく、データのパターンに重みづけをすることで評価している。数値を比較するのではなく、違うデータでも特徴的な共通パターンがあればそれを同じものと分類することができる。機械学習とは、その共通パターンをなるべく誤差や間違いがないようにするため、パラメータ(どのパターンにどんな重みづけをするか)をチューニングし、大量のデータを分類させていくことだ。

つまり、ADASにおける人工知能研究は、歩行者、道路、標識、建物、車両などのデータをどれくらい持っているかがポイントとなる。このデータが多いほど、機械学習の精度があがり、周辺環境の認識、自動運転の状況判断の信頼性が高まる。ADASや自動運転を目指すメーカー、サプライヤー、ベンチャー企業などは、当然、学習させるための大量のデータ、膨大な演算リソース、そして先進的なアルゴリズム開発に注目し、研究を続けている。

デンソー 基礎研究所の川原伸章所長によれば「他社と比較してどれくらいの技術力にあるのかの評価は難しいが、必要なデータの蓄積では優位性はある」という。長年ADASのためのシステム、コンポーネントを研究・開発してきた同社は、この分野での人工知能技術の適用に自信があるようだ。

では、デンソーはどんな企業をこの分野でのライバルと思っているのだろうか。この質問については、やはりボッシュとコンチネンタルの名前が挙がった(川原所長)。先ごろ、グーグルからシャフトやボストンダイナミクスを買収したトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)とは、協業の議論をしているとのことで、ライバルはロボットやAIのベンチャーではないようだ。

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  2. 日産 リーフ 新型をライバルと比較…アリア、テスラ、bZ4Xと何が違う?
  3. 15歳から運転できる「小さいオペル」に興味アリ!「通勤用にこういうのでいいんだよ」など注目集まる
  4. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  5. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る