東芝は9月5日、EVバス用ワイヤレス急速充電システム向けに妨害電波を抑制する技術を開発したと発表した。
ワイヤレス充電システムは、10kHz以上の高周波を利用する場合、装置から放射される電磁波の大きさを、放送や他の無線通信を妨害しない許容値以下まで落とす必要がある。電磁波の大きさは、送電電力に比例するため、44kWを送電する東芝のEVバス用ワイヤレス急速充電システムでは、その許容値を10倍上回ってしまうという課題があった。
新技術では、送受電パッドを22kWの2系統の装置にわけ2か所から逆相で送電する方法を採ることで、それぞれ放射される電磁波が打ち消し合い、不要な電磁波を抑制する。また、パッド間での干渉結合による打ち消し効果低減を防ぐため、パッドの最適な位置関係を検証。不要結合が0になる相対角度を電磁界シミュレータにより割りだすことで、パッド間で生じる干渉の抑制を実現した。これらの技術により、10m離れた位置での電磁波が約1/10に抑制され、送電量を44kWから損なうことなく高周波利用設備の許容値を満たすことが可能となった。
東芝では、2016年末ごろまで実施予定のEVバスの公道実証実験で新技術の課題を抽出し、早期の実用化に向けて研究を進めていく。