アルミテープで走りの味が変わる!? トヨタが新技術を公表「みんなで試して」

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86のバンパーに貼られたアルミテープ。スリット状に加工されているが、基本は市販されているものと全く同じ
86のバンパーに貼られたアルミテープ。スリット状に加工されているが、基本は市販されているものと全く同じ 全 16 枚 拡大写真

トヨタは2ドアスポーツクーペ『86』の大幅マイナーチェンジに合わせ、改良新型に採用された新技術の概要を公表した。「アルミテープによる空力コントロール」を実現するというもので、低コストながら操縦安定性の向上に大きく貢献するという。

車体が帯びた電気を、最適に配置したアルミテープによって効果的に放出、これにより走行中の車体の空力バランスを部位ごとに変化させ、直進安定性、回頭性などの向上に寄与しているそうだ。

より具体的には、空気は+(プラス)に帯電しており、クルマは走行することで+帯電をしやすく、これにより車体まわりの空気を引きはがす力が働き、空気の流れが乱れるため十分なエアロダイナミクス(空力)を発揮することができない。それをアルミテープによって放電し空気の流れを整えることでタイヤ接地性の向上やロール制御、ヨースタビリティ、操舵応答などに効果をもたらす、というもの。

実際、今回の改良86の車体には、両サイドウインドウ下部とステアリング下コラムカバー内の計3か所にアルミテープが貼られている(肉眼で見ることはできない)のみだが、アルミテープの有り・無しで誰にでも実感出来るほどの効果が得られるとトヨタは説明する。この技術は、新型『ノア/ヴォクシー』やレクサス『RX』にもすでに採用されており、86のようにもともとエアロダイナミクスに特化し設計されたボディ形状よりも箱形の車体の方が、より明らかな効果があるという。

「オカルト的と言われもしましたが」と笑うのは、車両実験部でこのアイデアを積極的に採用したエンジニアの佐々長孝さん。きっかけは、実験車両の樹脂部分に誰かが貼付けて外し忘れていた“アース”に目をつけたことだった。「これを付けたり外してみたりすると明らかに性能に変化があった。次にガラスで試しても同じ結果が出て、どうも静電気のしわざだろうと。そこで、静電気をより効果的に飛ばすためにはエッジのあるものが良いだろうとアルミテープを使ったというのがきっかけです」(佐々さん)。

「接着剤も含めて、普通に流通しているものですからコストが安く、そして耐久性もあるというのがアルミテープ採用の決め手でした」と話す通り、アルミテープそのものは特別なものではなく、家庭などで補修に使われるものと全く同じ。性能の向上に効果があるとわかったあとは、テープの厚さや長さ、接着剤の通電性などを試行錯誤し、長くスリットのある形状のものを正式に採用した。

今回の取材の場では、従来型の86を使ってその違いを体験することができた。ノーマル状態の従来型86を走行した後に、コラムカバーと、前後バンパーの四隅、さらにフロントウインドウ下にアルミテープを貼付けて、同じコースを走行するという流れ。河口湖周辺の一般道は路面状態があまり良くなく、ノーマル状態の86ではそれなりの振動とともにハンドルを取られるのだが、アルミテープ有りの状態だと同じ路面でも修正蛇の必要が殆どなくなり足回りの安定感に明らかな違いを感じることができた。50km/h程度の速度で最も違いは顕著だったが、敏感な人であれば20~30km/h程度でも違いがわかるという。

トヨタは「アルミテープは市販のもので良く、バンパーなど様々な場所に貼ることで、様々な効果がある。ユーザー同士でも情報交換しながら色々試して楽しんでほしい」として、お手軽な“アルミテープチューニング”を入り口としたカスタム文化の拡大に期待を込める。アルミテープの効果はもちろん、86以外のあらゆる車種で見られるということなので、気になる読者は試してみてはいかがだろうか。

《宮崎壮人》

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