【カーオーディオ雑学】「デッドニング」 背圧の処理

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吸音材の施工例。奥側に貼られているグレーの部材が吸音材だ。
吸音材の施工例。奥側に貼られているグレーの部材が吸音材だ。 全 1 枚 拡大写真

カーオーディオ・ユニットの取り付けに関する雑学を、縦横無尽に解説している。現在は「デッドニング」をテーマにお贈りしている。今週はその3回目として、「背圧の処理」について、この言葉の意味や目的を、端的にご紹介していこうと思う。

「背圧」とは、スピーカーの裏側から発せられる音エネルギーのことを指している。カーオーディオでは特にドアに装着するスピーカーにおいて、この「背圧」を上手く処理する必要がある。ドアは奥行きがものすごく短い。ホームオーディオのスピーカーのように、箱(エンクロージャー)内部の奥行きが十分に確保されていれば「背圧」が悪さをすることはないのだが、ドアでは「背圧」は、良い音にとっての大敵となるのだ。

「背圧」は奥側の鉄板で跳ね返り、振動板に当たる。そうなると、振動板はスムーズに動けない。振動板の動きにストレスがかかると、音が正確に再現されなくなるのである。

では、どのような対処法があるのかと言うと…。スタンダードな方法は、スピーカーの奥側の鉄板に吸音材を貼る、というものだ。「背圧」を吸収して、スピーカーに戻る量を減らそうとするのである。

ただし、吸音材ならなんでも良い、ということではない。カー用に設計されているものを使うべきだ。クルマのドア内部には雨水が浸入するので、水対策が施された部材を使うべきなのだ。さらには高温にもなるので、熱にも強くなければならない。

そして、作業においてはコツがある。ポイントは、貼る量。吸音材を使う場合、貼り過ぎには注意が必要なのだ。吸音材を貼り過ぎて、音が吸われ過ぎても良くない。裏側で音が吸われ過ぎすると、表側の音も、吸音されたような鳴り方になってしまいがちなのだ。

なお、対処法は他にもある。吸音材の代わりに、拡散材が用いられることもあるのだ。背圧を乱反射させて、スピーカーに戻る量を減らそうとするのである。

場合によっては、吸音材と拡散材が併用されることもある。各プロショップは、スピーカーの能力(パワー)も計算に入れながら、使用する部材の種類と量を調節し、適切に「背圧」を処理していく。

今週はここまでとさせていただく。次週もさらに「デッドニング」についての考察を深めていく。次回もお読み逃しなく。

【カーオーディオ・インストール雑学】パート4「デッドニング」#04 背圧の処理

《太田祥三》

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