乗用車だけじゃない!大型トラックのEV・自動運転技術を支えるサプライヤー…ZF

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EMAによる渋滞の緊急回避
EMAによる渋滞の緊急回避 全 8 枚 拡大写真

ドイツで開催される国際的なモーターショー、IAA。商用車年の今年は、北部の街ハノーバーで開催され、世界中の主だったバス、トラック、バンなどのメーカーに加え、グローバルに展開する大手サプライヤーの出展も目立つ。グローバル・サプライヤーのZFブースでは大型トラックのスケルトンモデルが目をひいていたが、他にもADAS、自動運転支援技術、ハイブリッド、EVモーターなどの展示も行っていた。

当日の模様を撮影した映像も公開中

◆EV化進む大型車…ダイムラーの大型EVもZFのテクノロジーが支える


同じ会場では、ダイムラー社が総重量26トンの大型EVトラックを発表していたが、これを実現したモーター内蔵のアクスルはZFが供給したAVE130電動ポータルアクスル。これは両側のハブにモーターが搭載されたEモビリティソリューションだ。大型のモーターから各駆動輪に動力を伝達するのではなく、駆動輪ごとにモーターを配置できるアクスルの開発によって、トラック、トレーラーなど駆動輪の構成パターンがいくつもある車両にも対応しやすい。

他にもハイブリッド車用のトランスミッション、モーターユニットなど環境性能を意識した製品の展示も目立っていた。EV化の試みが始まっている大型車だが、実用面を考えると長距離輸送、大積載量といった用途では、ディーゼルやハイブリッド、ガスタービンなどに頼らざるをえない現状があるからだ。

AVE130をベースとしたEVアクスル

ハイブリッドディーゼル向けEVモーター

ZFは乗用車だけでなく、商用車のADAS、自動運転支援技術にも力を入れている。Tier1サプライヤーにとって、ADASのコンポーネントや自動運転技術の独自開発は、今後の業界内における自社のポジションだけでなく完成車メーカーとの関係に大きな影響を与えるのだ。

◆トラックや大型車両の自動運転技術は“レベル1”; 期待高まる技術の進歩


同社のADAS技術は、カメラによる画像認識、ミリ波レーダーといったセンシング技術と、自動ブレーキシステム、自動操舵システムを組み合わせて実現する。応用例としては、トラックセンターや貨物の集積場において、バックでの容易な駐車を可能にする「SafeRange」、高速道路でのレーンキープや適切な車間距離を保つ「HDA」、危険回避操舵支援機能「EMA」などがある。

SafeRangeのデモ動画

EMAのデモ動画

特筆したいのは、トレーラーを牽引している場合のEMAの制御だ。牽引車両による緊急回避ブレーキは、いわゆるジャックナイフ現象を起こさないようなブレーキおよびステアリング操作が必要だが、人間によるとっさの判断、ブレーキ操作でそれは難しい。しかしながらZFの技術では、トラクター、トレーラーそれぞれのブレーキを独立して制御するため、急ブレーキを踏んでハンドルを切っても、車はバランスを崩さず停止できる。牽引車両がある場合、高速道路での通常走行時における車線変更もトレーラーの動きを注意しなければならないが、ZFの技術はそれすらも安全にアシストしてくれる。そして同社は、これらのADAS技術を自動運転にも応用することを考えている。会期中のブースにおいて、ZFの工学博士であるゲルハルト・グンポルストバーガー氏に話を聞くことができた。

「自動運転技術は、レベル2までなら市販車に採用されています。レベル3に達するには、カメラやレーダーなどの周辺センシングを360度まで展開する必要や、そのためのコストといった課題がありますが、実用化が進んでいるところです。画像認識に、既に利用している機械学習の技術に加え、ディープラーニングや人工知能など、さらに高度な取り組みに関する研究開発を続けているところです。一方でトラックや大型車両については、レベル1(同前)の状態です。バスやトラックのほうが専用レーンやルートのスケジュールによって制御をしやすい半面、車両重量のために、実用域でのスピード、ステアリング操作、ブレーキ操作に課題があるからです」

EMAによる衝突回避のデモンストレーション

デモンストレーションや実験では、バス・トラックでも運転支援は乗用車に遜色ないレベルに達している。だが、市場投入となると「車両の大きさ」という物理的な問題があるという。確かに、人間の運転でも車の重さや大きさが変わると、ブレーキ操作を早めたり、ステアリング操作のタイミングを変えたりする必要が出てくることは、想像に難くない。そして自動運転技術でも似たようなことがあるわけだ。しかしながら、これらの問題というのは人間ならば“慣れ”の話でもあり、本質的な問題とはならない。技術の進歩やノウハウの蓄積でいずれ克服されるものと言えるだろう。大型車の自動運転技術が高まった社会にはどのような変化がもたらされるのだろうか。決して平坦ではない道に挑むZFの今後に期待だ。

ZF IAA2016 特設ページ(英語)

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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