【マツダ アテンザ 試乗】ますます熟成を重ねていくフラッグシップ…諸星陽一

試乗記 国産車
マツダ アテンザ 改良新型
マツダ アテンザ 改良新型 全 16 枚 拡大写真

マツダのフラッグシップモデルである『アテンザ』が2016年モデルへと移行した。もっとも大きな進化は、ディーゼルエンジンのアップデートとトルクベクタリングの採用だ。

エンジン始動時は若干ディーゼルらしいノイズと振動を感じるが、さすがの圧縮14.0という低圧縮ディーゼルはアイドリング状態に入ってしまえばディーゼルのイヤな部分は姿を消す。そして走り出してしまえばディーゼルのいい部分が前面に出てくる。アクセルをちょっと踏むだけで、しっかりとトルクを発生してくれるエンジン特性は、とにかく走りやすい。

たとえばガソリンエンジンで、アクセルを踏んだ瞬間にエンジン回転が上がり同じ数値のトルクを出せても、この余裕感は出てこない。回転が上がらないけどトルクが出ているというのは、走り高跳びから助走をなくしたような感じで、驚いたときに飛び上がるネコのように瞬間的に大トルクを発生する。この大トルクを上手に扱えるのも、じつはマツダ車ならでは。まず、ドライビングポジションがしっかりとしているからアクセルペダルを上手にコントロール可能なわけで、そのアクセルペダルがつり下げ式でなくオルガン式だから微妙な踏み込み量がコントロール可能なわけだ。

今回のマイナーチェンジでは、「DE精密過給制御」という新制御が採用された。読んで字のごとくディーゼルエンジンの過給を精密に制御して、エンジンのトルク応答性を向上しようというもの。これにより中低速の応答性が向上、以前にも増してすっきりと走ることができるようになった。もちろん絶大なる違いではないが、新旧を乗り比べれば「新型のほうがいい」と感じられる。

さらに新型にはすでに『アクセラ』で採用済みの、ピストンピンにダンパーを仕込んだ「ナチュラル・サウンド・スムーザー」と、燃料の噴射時期を0.1ミリ秒単位でコントロールしディーゼルノックの共振を抑える「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」も採用され、静粛性を高めているのも特徴で、静かでなめらかなディーゼルエンジンという特徴はさらに強調されている。

また、今回のマイナーチェンジから「Gベクタリングコントロール」が装備された。Gベクタリングコントロールは、クルマの動きに合わせてごくわずかにエンジン出力を変更することで安定性を引き出す装備。効果は絶大で、とくにACCで走っている際にはその安定性の高さはビックリするほどだ。

インパネまわりも変更を受け、ディスプレイには制限速度・進入禁止、一時停止などの標識を表示。制限速度超過をディスプレイにグラフィック点滅やブザー警告でドライバーに通知する「交通標識認識システム(TSR)」が装備された。自動ブレーキについてはセンサーを従来の近赤外線レーザーからカメラに変更することで、クルマのみだった検知対象を歩行者にまで拡大。検知の作動速度域も従来の約4~30km/hから、約4~80km/hまで拡大。歩行者検知は約10~80km/hで作動となり、安全性を高めている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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