【アバルト 124スパイダー 試乗】“らしさ”の源はエンジンにあり…島崎七生人

試乗記 輸入車
アバルト124スパイダー
アバルト124スパイダー 全 7 枚 拡大写真

正直に告白しておくと、発表当初は「マツダロードスターのスキンチェンジ版でしょ!?」の認識だった。素の124ではなく“アバルト分”のデコレーションもどうか?、とも。が、実車に触れ、走らせたら、そんなモヤモヤはまさに風とともにどこかに吹き飛んだ。

往年のフィアット124のディテール、モチーフを随所に再現したスタイルは、フロントのデザインや、肩の張ったところが124らしい。運転席からの眺めも特徴で、左右の丸みを帯びたフェンダーの峰とフード上の2つの膨らみが124だ。左右の三角山のフェンダーとその間に弧を描くボンネットがみえる『ロードスター』がモダン方向とすれば、適度にクラシカルな味わいがある。

インテリアはシートのデザインやドアトリム形状、インパネの細部デザインがロードスターとは違えてある箇所。メーターは中央のタコメーターの盤面がフェラーリのような赤(夜間は文字が白で浮かび、この赤は見えなくなる)で、スピードメーターが270km/hまで目盛られ、文字も専用の書体が用いられている。

室内の“新車の匂い”自体は“F社”ではなく“M社”のそれだが、ステアリングホイール頂上の赤いマークなど「ああ、アバルトらしいな」とニンマリとさせられる。試乗車はレザーシートだったが、形状、クッションなど、座るとスッと身体を受け止めてくれる、とても出来のいいものだ。

トランクは容量は変わらないはずだが、リッド裏にトリムが貼られているのはアバルト124専用だ。

走りは実に気分がいい。やはりアバルト(フィアット)だなと思わせてくれるのがエンジンで、ホロホロ、グゥーン!と回転とパワー感を盛り上げる様は、人の感覚と見事にシンクロしたもので心地いい。6速MT車にも走行モードの切り替えスイッチが付くのもコチラの特権だが、“SPORT”に切り替えると、加速がいちだんと素早くなるなど、スポーティ度がより高まる。

乗り味はソフトトップを閉めた状態では締まって感じるが、それでもショック、突き上げをきちんとチェックしてくれる。オープンにして走ると、やはりこの状態こそ本領発揮というところで、舐めるように路面にタイヤを接地させながら、走り込むほどにクルマとの一体感が味わえる。広報車の宿命だが返却日が来なければいいのに…そう思わせられるクルマだった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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