ロードスターのデザイナーが明かす、MX-5 RFのデザイン裏話

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スケッチブックに走り描きしながら「美しいクーペスタイル」について説明するマツダ商品本部主査 兼 デザイン本部チーフデザイナーの中山雅氏
スケッチブックに走り描きしながら「美しいクーペスタイル」について説明するマツダ商品本部主査 兼 デザイン本部チーフデザイナーの中山雅氏 全 9 枚 拡大写真

マツダは、東京ミッドタウンで10月14日にスタートした「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2016」に出展。『MX-5 RF』と『ルーチェ・ロータリークーペ』、そして資生堂と共同開発したフレグランス『SOUL of MOTION』を展示している。

開幕初日の14日には、メディア関係者を対象に「マツダデザインの歴史」と題した説明会を実施。さらに現行『ロードスター』のチーフデザイナーで、この7月からは開発主査も務める中山雅氏も来場。MX-5 RFのデザインについて解説するとともに、さまざまな裏話を披露してくれた。

話題の中心は、ロードスターとの最大の違いである、トンネルバックのスタイルを持つ開閉式ハードトップについて。「ロードスターは小さなクルマなので、理詰めで作らなくてはならなかった。そのうえで、綺麗なルーフを載せることが(RFの)命題でした」という。ここでフルオープンにできることを前提としなかったため、いちばん美しいルーフラインを描くことができたとのこと。「余計なことをせずに、すごくシンプルで綺麗な造形ができた」と中山氏。

ただし造形はいたってシンプルだが、その他のデザインには工夫が凝らされている。中山氏が挙げたのは、開閉シークエンスだ。「エレガントというのは、全体に連続性があること。面や線の流れや勢いが突然止まったり折れたりせず、ゆるやかに連続することです」とのことだが、これと同じ考えでルーフの動作もすべて連続させたのだという。

収納されたルーフパネルが展開するときは、次のようになる。リッドが上昇、折り畳まれたルーフが上昇しつつ展開、ルーフ先端がフロントウィンドウ上端部と結合、リッドがふたたびボディに収まる…というのが一連の動きだ。MX-5 RFでは、このひとつひとつの動作が完了する直前に、次の動作がはじまるようにされている。

これは当初エンジニアから「動作時間を短くために、それぞれの動作の前後をオーバーラップさせたい」という提案があり、採用されていたのだとか。そしてこの「動作の連続性」がもたらすスムーズさを効果的に演出することで、動作時間を短縮するとともにエレガントさも感じられるようにしたというわけだ。

またハードトップ後端は、造形の美しさと機能性のバランスを考えて演出に活用した部分。充分なトランクの開口面積を確保しようとすると、その開口線の位置が問題となった。ルーフラインが下降してトランクリッド面に到達する位置よりも前になってしまうのだ。このまま実現するには、ゆるやかに下降するラインを分断するしかなく、美しいルーフラインが実現できない。

そこで開口線の左右を切り欠き、台形が噛み合ったような処理にすることで解決。これをSF映画に出てくる宇宙船や宇宙ステーションの扉に例える。単純な直線ではなく複雑な折れ線を持つドアパネルがピタリと嵌合する様子を、精緻さを表現する演出に利用したわけだ。「”男の子”がグッとくるところではないでしょうか」と中山氏は笑う。

なお展示されたMX-5 RFには、来場者が実際に乗車してルーフ開閉を操作することもできる。この展示は10月23日まで、東京ミッドタウンのキャノピースクエアでおこなわれる。

《古庄 速人》

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