アグレッシブ! 京急のビアホール電車、揺れとトイレのタイミングが…

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「京急×キリンビール横浜工場90周年記念ビール電車」(10月14日 金曜夜、京急大師線ほか)
「京急×キリンビール横浜工場90周年記念ビール電車」(10月14日 金曜夜、京急大師線ほか) 全 36 枚 拡大写真

京急横浜駅上り線ホームを18時49分に出発したビール飲み放題列車「京急×キリンビール横浜工場90周年記念ビール電車」。乗ってみて痛感したことは、もよおす時間と京急電車特有の揺れの予測が要るという点。両方とも予想より早く、小刻みにやってくる(写真36枚)。

この京急初のビール飲み放題列車(1500形1521編成4両、ひとり3000円、ネット申し込み)は、大師線を2往復する時間がメインだが、生麦駅でキリンビール横浜工場幹部陣の演出が組み入れられているためか、横浜から本線を通って京急川崎まで向かう“アプローチライン”が加えられている。

横浜を出て、すぐに缶ビールの「一番搾り」が配られた。生麦駅から乗り込んだキリンビール藤本省三横浜支社長、勝間田達広横浜工場長、岡田義宗醸造部長らが、客席へ生ビールを運ぶ前の、“前菜”のような位置づけだが、ここで勢いよく缶ビールをあおってしまうと「苦しい展開」になる。

1時間超の“トイレ無し”を覚悟して呑む

出発から1時間10分後まで、トイレに行けないのだ。この京急ビール電車は、横浜を出て、京急川崎を過ぎ、多摩川橋梁上でいったん停止し、すぐに進行方向逆向きへと動き出し、本線から大師線へと、回送線を伝って転線する。電車は京急川崎駅(大師線ホーム)に進入し、再び逆方向に動き出し、小島新田へ向かう。この2度のスイッチバックと、小島新田での折り返しを含め、横浜→京急川崎→小島新田→京急川崎の間でドアは開かない。

「どうしてもという方は、スタッフに声をかけて」というが、参加者のひとりは、小島新田を折り返すあたりで「すっげえヤバイ。もうだめかも」と苦笑い。実はこの列車には、京急川崎(横浜)寄り1号車に簡易トイレが設置されていた。といっても、客室ドア部分に「貯めるだけ」の簡易トイレが置かれているだけ。仮に「もうがまんできない!」と駆け込んでも、あとでスタッフが自分の出したものを捨てるという作業があると想うと……。

京急電車らしい揺れを予測して呑む

そして、ほかのビール電車にはない“鍛錬”が求められた。千葉のど田舎、JR線沿線に住む記者は、京急の小刻みにかかるトラクションとその前後動に慣れるまで時間がかかった。「よくこんなに揺れる車内で、ホルダーのないテーブルで、缶やコップを倒さずよく飲んでいられるな」と。

「あぶねっ!」とこぼしそうになる記者をよそ目に、乗客たちのほとんどがこぼさずビールを堪能。「京急利用」ということで、激しいコールとは対象的に誰もが上手に嗜む。ここは身体が覚えているという感じか。「よくこぼさずみんな飲めるな」とこぼしたら、「攻めてる京急、それをよ~く知ってるお客さんだから、じゃないですかね」と仕掛け人のキリンビール横浜工場総務部 籠倉啓子広報担当。

流れる車窓を見つめ、コトンコトンとのんびり行く車内で、ゆっくりとビールを嗜む既存のビール列車と違い、“京急アグレッシブビアホール”は戦いだ。2往復目となると、京急電車の動きに身体も慣れてきたか、それとも酔っ払ってるだけか、記者も客もみな「ケイキュウ、キリン、カンパーイ!」だった。

《レスポンス編集部》

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