若者は「自動運転のある未来」のビジョンを描けたか…SIP-adus 内閣府ダイアログ

自動車 テクノロジー ITS
SIP-adus『市民ダイアログ』 〈撮影 高木啓〉
SIP-adus『市民ダイアログ』 〈撮影 高木啓〉 全 3 枚 拡大写真

内閣府が推進する「自動走行システム」プログラムのSIP-adusは1日、東京都内で『市民ダイアログ』を開催した。市民に向けて対話型のプレゼンテーションをすることにより、自動運転の未来について連想、予測、創造することが目的だ。今回が第1回で、3回を予定する。

一般参加者は大学生を中心とした市民約20名、モデレーターは自動車ジャーナリストでSIP-adus委員の清水和夫氏。プレゼンテーターは葛巻清吾プログラムディレクター、有本建男サブディレクター、岩貞るみ子委員。ダイアログは葛巻プログラムディレクターによる自動走行システムについての説明から始まった。

有本:技術は来る。社会に馴染むようにするにはどうするか。みなさんが実用化開発のコアメンバーになる世代だ。
清水:未来は魅力的か? 多様化は混沌を招く。未来は混沌か? 自動運転があれば、どういう未来になるか。若い世代がどういうライフスタイルを求めているか知りたい。ビジョンを見たい。

---:自動運転で事故が減って、悲しいことがなくなるといい。
---:たとえば過疎地域で人を運ぶ手助け。実用化のあと、それをどう応用していくか。
---:便利になるが、運転する楽しさはなくなって車はつまらなくなる。
清水:山道を走って楽しんだ後、帰り道の渋滞では自動運転がいい。レースの途中でも長い直線なんかだとすることがない。水飲んだり、無線で連絡したい。
---:自動運転に対する恐怖がある。一般の人は知識がない。不安感をどうやって解消するのか。

---:欲求が混沌としてくる。速く移動したいなら電車、安く移動したいならバス、途中を楽しめるのが車。
---:我々は、遠くの雰囲気のいいカフェにわざわざ出かける世代。あるいは逗子(神奈川県)に住みたいと思う。すると車は必要。
葛巻:車を持つと生活圏の広さが変わる。
---:運転する過程をプラスととらえるか、マイナスととらえるか。マイナスと思う人にとっては、自動運転でストレスフリーになる。
---:過程を楽しみたい人向けのインフラができる。
有本:大量生産の車をみんなが買う時代ではなくなった。多様な要求がある。

---:自動走行で車が面白くなるのか、つまらなくなるのか。二項対立してもしょうがない。産業としてどう稼ぐかを考えるべき。
---:どういう欲望をブレンドして提案していくか。
---:IT産業の自動運転への参入。自動走行中のサービス提供。
---:横浜が好きで住み続けたい。東京で働くとなると通勤時間がもったいない。
---:在宅ワークで通勤が不要になるという考えがある。しかしプライベートとの気持ちの切り替えが難しいので、はたして仕事の効率は上がるのか。自動運転で車の中を仕事環境にする。仕事しながらスタバへ行く。

---:趣味が天文。空気のきれいな田舎に住みたいが、田舎には都会のようなサービスがない。ロボットカーがこちらにきてサービスを提供してくれるといい。
葛巻:移動には価値がある。自らが移動するだけでなく、物を移動させても価値を生む。自分で買いに出かけるのではなく、通販で商品を取り寄せるようになった。ドライバー不足が問題になるほどだ。

---:宅配ドライバーに求められる運転は、速く正確に運ぶこと。
---:車を運転していると、車内に座っているときは満員電車と同じで動けない。無駄を許容する乗り物が欲しい。

---:自分の倫理観で自動運転と手動運転を選べるようになりたい。人が動くのは光合成できないから。移動は生きるための倫理だと思う。
---:自動運転が実現したら、おそらくニーズが今とは変わる。長い視点で発展を考なければならない。
---:「人は移動する」という考えを引っ張りすぎないでほしい。我々の世代なら、安心はグーグルで充分担保できるし、移動の要求は自動運転でも満たされるのだから。

清水委員はダイアログ開催にあたって、「自動走行システム技術を普及させるためには、社会に納得してもらうことが大事。テスラの死亡事故を受け『自動運転』が注目されたが、誤解や過信、ミスユースをなくしたい。今回の参加者は若い人が中心で、若い世代は自動車に興味はないが自動運転には興味があるという人が多い。つまり社会的イノベーションには興味ある」と述べ、ダイアログに期待する。

《高木啓》

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