【スバル インプレッサ 試乗】100年の節目を迎えるにふさわしい…諸星陽一

試乗記 国産車
【スバル インプレッサ 試乗】100年の節目を迎えるにふさわしい…諸星陽一
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静岡県の閉鎖コースで行われた事前試乗会から2か月弱。やっとナンバーが付いた新型『インプレッサ』を公道で試乗する機会を得た。

試乗車は2リットルエンジンを搭載するLとSの2種。大きな違いはLはタイヤが燃費を重視したタイプで205/50R17サイズ、Sがハンドリング重視タイプで225/40R18サイズとなること。そしてSにはコーナリング時にタイヤのグリップバランスをコントロールし安定性を向上するアクティブ・トルク・ベクタリングが装備されるという点。

結論から書こう。公道でもインプレッサのよさは際立った。新型インプレッサは近年まれにみる大きな進歩を遂げている。自動車産業が熟成している現代では、クルマがフルモデルチェンジしてもそれほど大きな差が出ることは少ないのが通常だ。しかし、新型インプレッサはその思い込みを、スバル・グローバル・プラットフォームと呼ばれる新しいプラットフォームという、どでかいハンマーで打ち砕いた。けっして従来型のインプレッサのプラットフォームが大きく時代に遅れていたわけではない。今回の進化が驚異的な伸びしろなのだ。

クルマの進化というと、ハイパワーなエンジンを搭載したり、画期的なサスペションを採用したり…といったことを思い浮かべるだろうが、インプレッサの進化はそうしたものだけでなく、それらを搭載するプラットフォームの進化が大きい。プラットフォームというのはエンジンやサスペションなどを載せている部分。昔で言えばフレーム、日本語では車台などと訳される。クルマのもっとも基本的な部分の進化は、あらゆる性能をいい方向へと導いた。

とにかく走りがガッシリとした。たとえばコーナーに向かってステアリングを切り込んでいったときも、操作とクルマの動きにズレがない。ステアリング切れ角に対するクルマの動きが素直で正確なので、修正舵を入れる必要はないし、コーナリング中の通過ラインの変更も容易だ。17インチタイヤはそうした一連の動きにゆったり感を持たせ、18インチはシャープさを持たせている。SとLというグレードの違いを上手に表現している。

試乗したモデルに搭載されるエンジンは2リットルの自然吸気4気筒。もちろん水平対向レイアウトだ。最高出力は154馬力、最大トルクは196Nmとスペック的にはごく普通だが、リニアトロニックと呼ばれるCVTとの組み合わせでスムーズで力強い走りを実現している。驚くのは静粛性の高さで、水平対向エンジン+金属チェーンCVTとはまるで感じさせない。

装備に目を向けてみると、全グレードでアイサイトを標準装備。アイサイトによって、衝突防止の自動ブレーキと追従型クルーズコントロールを実現。さらにステアリング操作をアシストするアクティブレーンキープも備わる。エアバッグに関しては、デュアル+サイド+カーテンと運転席ニーエアバッグの7バッグが全車標準、さらにボンネット上に展開する歩行者エアバッグも標準で装備する。

価格に目を向けてみると、もっともリーズナブルな1.6リットルのFFモデルで200万円を切る192万2400円。もっとも高価な2リットル4WDの18インチ仕様で259万2000円。5ドアのスポーツ、セダンのG4ともに価格は同一だ。価格バリューを考えれば魅力はさらに増す。

艶っぽさや派手さはないものの、クルマを性能と価格からまじめに見つめるとインプレッサの実力と魅力は計り知れない底力を感じられる。

来年2017年、富士重工業はその前身である中島飛行機創業から数えて100周年を迎え、これを機に社名も富士重工業からスバルへと改名する。このインプレッサのプラットフォームは今後登場するさまざまなスバル車へ展開される。このタイミングで高性能なプラットフォームが登場したのはじつにタイムリーな出来事。インプレッサはもとより、今後のスバル車への期待は大きく膨らむ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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