日産自動車は11月2日、横浜市の本社ショールームで新型『ノートe-POWER』の発表会を行った。その挨拶に立った国内販売担当の星野朝子専務執行役員は「このパワートレインは業界でもエポック的な存在になる」と力説した。
なにしろ従来の駆動方式とは一線を画す新しいものだからだ。ガソリンエンジンとモーターを搭載しているという点では通常のハイブリッド車と変わらないが、ガソリンエンジンを走行のために使わないのだ。ガソリンエンジンで発電し、その電気でモーターを動かして走行するのだ。そのため、通常の電気自動車のように充電する必要はない。
しかも、電気自動車特有の力強い加速性や優れた静粛性も備えている。「アクセルペダルをひと踏むするだけで、お客さまはこの車の虜になる」(星野専務)そうで、社内ではこのパワートレインを“発明”とまで言っている。なんでも、この開発のために10年の歳月をかけたという。
そんな画期的な技術を量販車である『ノート』に搭載したわけだが、そこには理由があった。「少しでも多くのお客さまにわれわれの最先端の技術を見て、乗って、感じていただきたいからです」と星野専務と話し、「コンパクトカーの概念をこの新型パワートレインが覆すと確信している」と付け加える。価格も177万~224万円と、お手頃価格に設定した。
もちろん理由はそれだけでないのは言うまでもない。日産の国内販売は低迷を続け、シェアも下がり放しで、なんとかその状況から脱却する必要があった。そのうえ、電気自動車市場でライバルも登場した。米テスラ社がそうだ。最近は電気自動車の話題と言えば、テスラばかりで、日産『リーフ』の「リ」の字も出なくなった。
ノートe-POWERは、日産が電気自動車のナンバーワンを維持するために考え出した苦肉の策と言えるかもしれない。