5人を死傷させた違法競争、共謀の成立を認めて懲役23年の実刑命じる

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昨年6月、北海道砂川市内の国道12号で違法競争中に他車と衝突する事故を起こし、5人を死傷させたとして危険運転致死傷の罪に問われた28歳と27歳の男に対する裁判員裁判の判決公判が10日、札幌地裁で開かれた。裁判所は共謀の成立を認め、2人に懲役23年の実刑を命じている。

問題の事故は2015年6月6日午後10時35分ごろ発生している。砂川市西1条北22丁目付近の国道12号(片側2車線の直線区間、交差点に信号機あり)で、速度を競い合うようにして走行していた2台の乗用車が赤信号を無視して交差点へ進入し、青信号に従って交差点へ進入してきた軽ワゴン車と出会い頭に衝突。軽ワゴン車は約60m先まで弾き飛ばされ、乗っていた4人が死傷。車外に投げ出された1人はもう1台のクルマの下敷きとなり、約1.5kmに渡ってひきずられて死亡した。

事故当時、2台のクルマは約100km/hの速度で走行。交差点の手前で赤信号となり、約30秒間はこれを視認できる状態だったが、2台とも故意に無視したことが事故につながったと判断し、警察は28歳と27歳の男を逮捕。事故の状況から検察は2人が赤信号を無視してでも速度を競い合おうとした共謀の意思があったと認め、2人を自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪で起訴していた。

これまでの公判で2人は共謀の意思を否認するとともに「赤信号を見落とした」などと主張してきたが、10日に開かれた判決公判で札幌地裁の田尻克已裁判長は、衝突事故を起こした男については「500m手前の地点で信号機を視認できたはずで、見通したという証言は信用できない」、後に通過して車外に投げ出された1人をはねた男については「前を走るクルマを注視していたということは、信号を見ていなかったことにほかならない」と認定した。

その上で裁判長は「それぞれのクルマの同乗者が自身や相手のクルマの速度を意識するような発言を聞いていた」、「2台が抜きつ、抜かれつの状態で高速度走行を維持していた」、「2台とも一緒の目的地に向かっていた」などの理由から、「高速度での違法競争については言葉による同意形成はなくとも、暗黙の意思疎通はあった」と判断。共謀の成立も認め、2人に対して懲役23年の実刑判決を言い渡している。

《石田真一》

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