【アバルト 124スパイダー 6AT 試乗】エンジンとのマッチングはMTよりずっといい…諸星陽一

試乗記 輸入車
アバルト 124スパイダー 6AT
アバルト 124スパイダー 6AT 全 11 枚 拡大写真

『ロードスター』の131馬力に対し、170馬力エンジンを積んだアバルト『124スパイダー』の6ATモデルが追加され、試乗会が開催された。

アバルト124スパイダーは広島にあるマツダの工場で製造されるモデルだが、今まではMTモデルのみが製造されていた。そうしたなかATモデル5台のみが試乗会に間に合わせるかのように製造され出荷となった。試乗会の時点で世の中に存在するアバルト124のATモデルは5台のみという状況であった。

ギヤボックスはロードスターと同じということで、ギヤ比をチェックしてみるとNC(先代)、ND(現行)と同じ数値、ただ最終減速比はロードスターよりも低く(重く)、設定され加速よりも高速巡航、燃費重視であることがわかる。このあたりはヨーロッパブランドらしいセッティングだ。

エンジンを始動し、セレクトレバーをDに移せば、あとはアクセルを踏むだけで発進する。ごく当たり前のフィーリングでATらしい。じつはアバルト124スパイダーに搭載されている1.4リットルターボエンジンは、極々低速のトルクが細く、MTだと回転を上げめで発進しないとギクシャクしてしまう。ATの場合はスムーズな発進が可能で、非常に好感が持てる。

もちろんマニュアルモードもある。Dレンジのままステアリングコラムのレバーを操作してもマニュア操作が可能だが、マニュアルモードを維持したいのであればセレクトレバーを横にスライドし、マニュアルモードにしてしまう必要がある。マニュアルモードで走行時は停止すると1速からのスタートとなるが、2速を選んで2速でスタートすることも可能。

ギヤのセレクトはセレクトレバーとステアリングコラムのレバーのどちらでも可能だ。エンジン回転が3000回転を超えてからの加速感は気持ちいいが、やはり低めの回転数は苦手なようで加速感が鈍る場面もあった。また一般道を走る40~50km/hで3速と4速を行ったり来たりする変速があり、日本の道路とのマッチングをもう一考してほしい感じだ。ATにもスポーツモードを備えて(ロードスターはATのみだが124はMTにもATにもスポーツモードがある)いて、スポーツモードを選ぶことでシフトポイントが変わるので、これをうまく使えばスムーズな運転が可能かもしれない。

価格はMTよりも10万円高の370万円となる。ロードスターもMTとATの価格差は10万円なので良心的。アバルト124は日本で作られていることもあり、販売価格は抑えられているという。輸送費なども国産車と同じなのだ。ワールドワイドで見ても、アバルト124スパイダーがもっとも安く買えるのは日本だという。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る