【安全の舞台裏 JAL】先輩整備士の視野に入る動き…現場対応力に終わりなし

航空 テクノロジー
JAL整備士
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日本の玄関口、羽田空港で活躍する日本航空(JAL)整備士。20代と50代の整備士が、現場対応力アップの心得、不具合を見つけるヒント、若手整備士の“動き”などを語ってくれた。

福岡出身、51歳の中村勝美整備士は、成田職業訓練校を卒業しJALの整備士に。キャリア29年。現在は主に国際線のボーイング「787」、「777」、「767」を担当。29歳の金谷達朗整備士は、成田航空専門学校を卒業しJALの整備士に。キャリア7年。現在は主に国内線の「737」を担当している。


◆現場対応力はどう身につけていくか

金谷整備士:現場では過去にあった不具合に再び出会うことはあまりない。つまり、常にこれまでと違う不具合が見つかる。そうした不具合の修復の現場では、スキルを身につけるという点では、仕事の取り合いになる。整備後は、各自の修復箇所の状況を仲間と共有しながら、機体整備を身体で覚えていった。

中村整備士:メーカーの整備マニュアルの、チャプター(章)の数字で作業を分けている。ボーイングの機体については世界共通で、「27」がフライトコントロール、「29」がハイドロリック(油圧)、「32」がランディングギアという具合。たとえばランディングギアに不具合があった場合、32章の解決ヒントを探しに行く。1章は総論で、導入した年などによって仕様が違うことが記されている。

◆「いっしょに行くか」と呼ばれるように動く

金谷整備士:場数を踏んでなんぼの世界。私はまだ経験値が少ないので、同期の仲間たちとさまざまな事象を共有して、すばやく的確に対応できるよう心がけ、動いている。目の当たりにする事象のすべてが新鮮に見えて、手先や身体で覚えていくという感じ。現場で無線を持って動きながら、何かあったらまず、先輩の視界に入るところに立って、「じゃあいっしょに行くか!」と声をかけてもらえるように、とか。

中村整備士(向かって右)と金谷整備士

キャリア29年の中村整備士は、電子化・ハイテク化した787などについて「計算できる部分や目に見える部分は、ほぼ推定できる。たとえばこれまで油圧で動かしたブレーキはエレキブレーキになり、電気式のアクチュエーターでブレーキをかける。コンピュータが制御する時代になると、見えない“何か”を見つけ、終わりのない安全へ向けたこの現場では、まだまだ経験が要る」と話していた。
ボーイング767 《写真提供 JAL》

《レスポンス編集部》

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