クリスマスイブにニッポン最古の祭を見る---山陰道「石見神楽」の夜

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有福温泉神楽団による石見神楽「八幡」(江津市・有福温泉湯の町神楽殿)
有福温泉神楽団による石見神楽「八幡」(江津市・有福温泉湯の町神楽殿) 全 18 枚 拡大写真

クリスマスイブの12月24日、豊作・豊漁をよろこぶニッポンの祭に酔いしれる時間へ---。島根県のJR山陰線・国道9号(山陰道)エリアでは、イブに各地で伝統芸能「石見神楽」が催され、小さな港町や里山に神楽囃子の音と拍手がわく(写真18枚)。

ニッポン最古の芸能といわれる神楽は、そのルーツが「岩戸に隠れた天照大御神(あまてらすおおみかみ)を誘い出すために、宇津女命(うずめのみこと)が岩戸の前で舞った踊り」といわれている。

現在、各地で演じられている神楽は、古事記や日本書紀を原典とするものが多く、「大蛇」「恵比須」「日本武尊」「八幡」など、30以上の演目がある。そのなかでも石見神楽は、演芸要素が濃く、ストーリーも明解で「わかりやすい」「ついのめり込んじゃう」といった声と拍手があがる。

イブは大田・江津・浜田・益田の4か所で開催

益田市・益田駅前ビルEAGAの「石見の夜神楽 週末公演」(19時30分~21時、観覧料500円)は、横田神楽社中による「恵比須」「日本武尊」、浜田市・三宮神社の「浜田の夜神楽週末公演」(19時30分~20時30分、500円)は、石見神楽長澤社中による「塵輪」「胴の口」、江津市・有福温泉湯の町神楽殿の定期公演(20時30分~21時50分、1000円)では、有福温泉神楽団による石見神楽が披露される。また、同じ日、出演や演目は未定だが、大田市・龍御前神社でも「龍御前神社夜神楽公演」(20~21時、600円)が行われる。

有福温泉神楽団による石見神楽「恵比須」(江津市・有福温泉湯の町神楽殿)有福温泉神楽団による石見神楽「恵比須」(江津市・有福温泉湯の町神楽殿)

「石見神楽を見るのは初めて」という人たち向けに、上演前に冗談を交えながらわかりやすい説明を入れるところがほとんど。大太鼓、小太鼓、手拍子、笛といった神楽囃子のパートを、大人から子どもまでが年齢を問わず担い、囃子を奏で始めると、主役・脇役などの舞子が舞台に登場し、物語とともに熱を帯びていく。
石見神楽面 柿田面工房 で粘土と和紙による面づくりも見てみたい石見神楽面 柿田面工房 で粘土と和紙による面づくりも見てみたい

◆石見の神楽面は国内でも珍しいつくり

時間があれば、神楽面をつくる職人の世界を見てもいい。JR山陰線西浜田駅から歩いて20分ほど、島根県立浜田商業高校の南にある石見神楽面柿田面工房は、柿田さんと息子が神楽面をつくっている。取引エリアは、石見・高田(広島)を越え、各地のトレンドに応えている。

「石見神楽の面の特徴は、木材ではなく和紙でつくるところ。木から削りだす、彫るとイメージしがちだけど、石見神楽の面は、全国でも珍しい、粘土型でプレスし、和紙を何枚も重ねてつくる。軽くて丈夫、衝撃に強い」

11月に訪れたさい、柿田さんは工房のなかも見せてくれた。「粘土でつくった型から面をはずすときは、そのひとつひとつ、乾燥した粘土を壊すことからはじめる」といい、木づちなどでカーン、カーンと型を崩していく。

老舗旅館にモダンなデザインを取り入れた有福温泉「樋口」老舗旅館にモダンなデザインを取り入れた有福温泉「樋口」。

◆キハ187系で行くか、浜田道で行くか

山陰線の大田市、江津、浜田、益田は、山陰線特急「スーパーまつかぜ」(鳥取・米子~益田)や「スーパーおき」(鳥取・米子~新山口)が停車。米子空港、出雲空港、萩・石見空港などから、山陰線の新型気動車187系の振り子制御を体感しながら、アクセスできる。

また、中国地方の背骨、中国自動車道から分かれる広島道、尾道道、松江道、浜田道などの道路が延長。クリスマスイブ、石見神楽の余韻にひたりながら、有福温泉や温泉津などの古湯につかるのもいい。クルマで山間を抜けて南へと向かえば、日付が変わる前に広島や尾道にたどり着ける。

《伊牟田まどか/大野雅人》

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