【期待が外れた】マツダ アテンザ 現行…いい車になるのは当たり前だから

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マツダ・アテンザ
マツダ・アテンザ 全 3 枚 拡大写真

年末年始の読み物「期待外れの車」シリーズ。ディスるわけではありません。発表時点でみんなが期待した、しかしその期待に応えることのできなかった、いわば悲運のモデルを紹介していきます。今回の筆者は井元康一郎さん。井元さんをがっかりさせたのは---。

【画像全3枚】

「ブランド価値経営」を標榜し、世界の2%のカスタマー(世界販売8000万台/年の場合160万台/年)に徹底的に好きになってもらうクルマづくりを目指すマツダ。「スカイアクティブテクノロジー」と称する環境技術群と新しいデザインアイコン「魂動デザイン」で、モデルラインナップを短い期間で一気に更新した。そのリーディングモデルという役割を期待されて2012年に登場したのが、Dセグメントセダン&ステーションワゴンの『アテンザ』である。

前社長の山内孝氏はアテンザについて、「ウチはEセグメント(メルセデスベンツ『Eクラス』やBMW『5シリーズ』のクラス)以上のモデルはもうやらない。Dセグメントのアテンザはマツダのフラッグシップであり、イメージリーダー」と、期待をにじませていた。

2002年に登場した初代から数えて第3世代にあたる現行アテンザは、室内スペース重視でずんぐりむっくりとしたスタイリングのモデルが多い日本製セダンとしては、異例ともいえる流麗なスタイリングを身にまとうクルマに変身した。長く伸びたボンネット、ワイド&ローの低重心フォルム、いかにも硬質なイメージのボディ表面の造形---。その佇まいは大衆車ではなく、もはやプレミアムセグメントのモデルのようだった。

ところが、そのアテンザに実際に乗ってみると、加減速やハンドリングのしっとり感、乗り心地の良さといった動的質感や静粛性など、中身は大衆車の域を出るものではなかった。有体に言えば、見かけ倒しだったのである。クルマとして本質的に悪いということではない。直進性はいいしハンドリングも数値性能的には悪くない。エンジンも2.2リットルターボディーゼルを筆頭に、必要十分なパフォーマンスを示した。が、その程度の良さはマツダがもともと持っていたもので、乗っただけで“今までのマツダとは違う”と感動させるようなフォースはなかったのである。

もちろん出始めの頃は意あって力足りずということもあるだろう。マツダはスバルと並び、モデルライフ途中で改良をどんどんやってくるメーカーだ。アテンザも内装が高級化され、旋回性を高める「Gベクタリング」をはじめさまざまな新技術が追加投入されるなど、何度も大改良を受けた。が、乗り心地、静粛性の向上、そして高出力エンジンの投入など、付加価値を作る要素についてはモデルライフ後半に至るまでほとんど変わらず、見た目と実力のギャップが埋まることはなかった。

他のモデルなら、かりに出来がそれほどよろしくなくてもそこまで問題にはならない。が、アテンザはマツダのセダン系列のフラッグシップ。それが顧客を驚かせるような良さ、商品性になっていないのでは、ブランドの“格”は上がらない。次期アテンザに求められるのはフツーの良さではなく、驚きだ。そういうモデルになれば、それがマツダのブランドイメージが1ランクアップする時になるだろう。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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