【意外なヒット】ホンダ オデッセイ 初代…中途半端という評価

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ホンダ・オデッセイ初代
ホンダ・オデッセイ初代 全 4 枚 拡大写真

年末年始の読み物「意外なヒット」シリーズ。名前を聞けば誰もが知っているヒット作ながら、実は発表当時にはそこまでは期待されていなかったモデルを紹介していきます。ホンダの予想外のヒット車種として、初代『オデッセイ』があります。

今でこそホンダといえばミニバンやSUVに代表されるRVメーカーのイメージが定着していますが、一昔前まではセダンとスポーツカーに強い拘りをもっていました。創業者である本田宗一郎の飽くなき新技術への探求を伝統とする社風も影響し、RV開発に乗り遅れ、業績も悪化の一途にありました。バブル崩壊直後の1990年代は高級セダンやスポーツカーの需要は減退し、いよいよホンダも社運をかけたRV開発の着手を迫られていました。

そんなホンダの救世主となり、今日のRVのホンダのイメージを作り上げたのが1994年に発売されたオデッセイにほかなりません。

しかし、当時のホンダには、一から新たにRVを開発するだけの資金的・時間的余裕がありませんでした。そこで選択した苦肉の策が、既存のセダンである『アコード』のプラットフォームを流用するというものでした。ミニバンとしては車高2m前後が常識だった中で、ホンダが既存の生産ラインで作ることができた最大サイズが、初代オデッセイの車高1660mmでした。その姿はRVというより大型ワゴンに近いかもしれません。

当時の経営陣の中には「こんなスライドドアもなく、ディーゼルエンジンも選べない、中途半端な車高のミニバンが売れるはずがない!」と最後まで市販化への抵抗があったと言われています。そんな経緯もあり、発売当初の販売目標は月間4000台と控えめなものでした。
ホンダ・オデッセイ現行
ホンダ・オデッセイ現行
結果的には、従来のミニバンにはない低重心からくるセダン並みの高い走行性能とスライドドアではないことの斬新さから爆発的ヒットを記録し、経営陣の心配は杞憂に終わります。1994年に日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞を翌95年にはRJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞するというこれ以上ない華々しいデビューを飾りました。賞の受賞による宣伝効果もあって、1995年には12万5590台の販売台数を達成しました。

残念ながら海外の市場では非力で小柄と判断されて販売は伸びませんでしたが、それでも経営不振に陥ったホンダを復活させるには十分なものでした。その後も当初のコンセプトを貫いたまま順調に開発を重ね、2013年からは5世代目となるモデルが今日まで販売され続けています。5世代目のトピックスは何といってもハイブリッドの搭載で、主たる販売先も、不調だった欧州から中国を中心とする発展著しいアジア圏に広がりをみせています。オデッセイの大成功を受けて、その後は『エリシオン』や『ステップワゴン』といった兄弟車種も数多く展開され、ホンダのRV帝国を築き上げるに至りました。

《山里真元》

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