【BMW M2クーペ 試乗】シフトダウンの音を聞くだけで、心が洗われる…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
BMW M2クーペ
BMW M2クーペ 全 12 枚 拡大写真

『2シリーズ』の立ち位置は、女性に寄り添っている。ひとりで運転するのに、これほど似合うサイズはない。大人の男性が乗ると、ちょっと物足りなくなりそうなコンパクトさも、女性の華奢さ加減だとうまくはまる。もっとも、世の中に存在するのは華奢な女性ばかりではないけれど。

しかし、Mシリーズの『M2クーペ』となると少し、様相が違ってくる。小さなボディに骨太な意志。ぐっとくる面構え。クーペゆえの大きめなドアを開けるとずしりと重く、乗り込んで締めると完全に下界と空気が遮断される。

ドアを閉めただけで、これだけ剛性感を感じられるのだ。走り出したら当然のごとく、とてつもない守られ感に包まれる。M2のがっちりとしたボディが、運転席にいる自分の周囲の空気だけを切り取ったかのように進んで行く。そのボディを、トルクのあるエンジンがこれでもかというくらいに前へと加速させる。加速を表現するのは、軽いという言葉ではない。アクセルに伝わるペダルの反動は、重いと感じるほうが正確だ。そしてその重さを感じながら、自分の意志で踏めば踏むほど、ぐいぐいと加速していくのである。

加速やコーナリングの気持ち良さもあるけれど、ブレーキを踏んだときのシフトダウンもたまらない。たとえ、街なかの信号にむけてであってもブレーキをぐっと踏んでいくと、完璧なヒール&トゥが決まったかのように、シフトダウンを決めていく。そのときのエンジン音のよさといったらない。そりゃ、燃費を感じたエコ運転を推奨する人からは、ゆるゆる走れと言われそうだけれど、運転の基本は、メリハリ。このシフトダウンの音を聞くだけで、心が洗われる思いがするのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  2. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  3. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  5. リトラと決別した「ワイルド・キャット」、3代目ホンダ『プレリュード』【懐かしのカーカタログ】
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る