里見の逆襲か、上田の初戴冠か…将棋女流名人戦第3局 1月29日

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第43期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第1局、里見香奈女流名人対上田初美女流三段(2017年1月15日、岡田美術館)
第43期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第1局、里見香奈女流名人対上田初美女流三段(2017年1月15日、岡田美術館) 全 20 枚 拡大写真

1974年から続く将棋の女流棋戦「女流名人戦」は、名人の称号をかけ、8連覇を狙う里見香奈女流名人と初戴冠をめざす挑戦者・上田初美女流三段とが激突。第1・2局の上田連勝で里見は名人戦崖っぷちに立たされた。1月29日、千葉・野田で開催の第3局で、クイーン名人が逆襲を見せるか……。

「女王」「女流王位」「女流王将」「倉敷藤花」「女流王座」「女流名人」---。将棋の女流タイトルのなかでも、最も長い歴史を持つ女流名人戦(五番勝負、持ち時間3時間)は、毎年1月から勝負が繰り広げられる。

2015年第42期から岡田美術館杯女流名人戦へ冠名を変え、その第1局が、箱根・小涌谷にある岡田美術館の開花亭で、1月15日に開催された(写真20枚)。

第1局岡田美術館…101手7時間10分、上田が初戦を制す

箱根駅伝5区の“山男”たちが駆け抜けた小涌谷。その2週間後、岡田美術館開花亭で里見と上田の対局が始まった。立会人は、昨年の同戦で里見に挑戦し第5局で苦杯を喫した清水市代女流六段。

関東地方に今季最大の寒波がおとずれたこの日、朝8時45分に真っ赤な着物に袴姿の上田が登場。その5分後、リクルートスーツ姿の女子大生のような出で立ちで里見が姿を表した。2人は静かに駒を並べていくが、その姿にも微妙な癖が見えた。里見は、駒を置くと、その駒を優しくトントントンと中指でならす。

「それでは定刻になりましたので、挑戦者、上田初美女流三段の先手番でお願いします」。清水女流六段の声とともに、上田の手が動いた。1手目の上田は7六歩、2手目の里見も3四歩で、ともに角道を開けた。上田は飛車道を開けるが、里見は王将の列に飛車を走らせる中飛車をとった。

扇子を手に、湯呑みに茶を入れ、菓子に手を伸ばす上田。小刻みに前後に揺れる里見。報道陣はメディア控室に移動し、13時半には、「新春の名勝負を見届けよう」というファンで満席となった、大盤解説会が対局会場脇で始まった。解説の森下卓九段、聞き手の室谷由紀二段、飯野愛女優1級らによる、「後手の王道、5四歩からの振り飛車。先に5二飛車があるというのもある」「中飛車は破壊力がすごいなと思いますね。王様により近い、破壊力がある」「現代将棋で、後手の王道としては振り飛車。このゴキゲン中飛車は、1992年ごろから台頭しはじめた」といった解説に、ファンは聞き入っていた。

箱根の山に日が沈む16時、上田の持ち時間が残り10分、里見は残り30分というところで、里見が頭を下げて投了を告げた。持ち駒は、上田が金・銀・桂馬・歩、里見が桂馬・歩2だった。

第2局出雲文化伝承館…104手7時間、上田が連勝し王手へ

第2局は1月22日、里見の故郷である出雲に戦いの場を移し、出雲文化伝承館で7時間のぶつかり合い。里見の手持ちは銀・歩5、持ち時間残り1分、上田は金2・銀・歩2、残り2分というところで決着し、上田が連勝でタイトルに王手をかけた。8連覇を狙う里見は2敗となり、崖っぷちに立たされた。

第2局の里見は5手目、7八飛。岡田美術館での第1局と同じく、中飛車で攻めると思いきや、角のすぐ右隣に飛車を寄せる三間飛車を選んだ。12手目、上田の2七角成で、里見が揺れる。里見は13手目の7四歩を打つまでに、52分をかけた。

10時には午前のおやつとして出雲大社銘菓といわれる「俵まんぢう」と緑茶が出た。13時半、第1局と同じように大盤解説が始まり、会場に里見の妹で女流棋士の咲紀女流1級も姿を現した。14時過ぎの午後のおやつには、2人のもとに出雲産の苺を使ったショートーケーキと紅茶が出された。

それぞれの持ち時間が3時間という対局で、残り1分まで粘った里見だったが、上田の寄せに屈し、連敗。

岡田美術館杯女流名人戦5番勝負は1月29日に、千葉県野田市の関根名人記念館へと舞台を移し、第3局をむかえる。この第3局で上田が3連勝を果たし、里見からタイトルを奪取するか。それとも里見が第4局湯原国際観光ホテル菊之湯(岡山県)、第5局将棋会館(東京都)と逆襲で防衛し、タイトル8連覇を達成するか。

《レスポンス編集部》

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