【スズキ スイフト RSt 試乗】パワー、ダイレクト感ともに格違いのターボ…井元康一郎

試乗記 国産車
スズキ スイフト RSt
スズキ スイフト RSt 全 8 枚 拡大写真

昨年12月27日にデビューしたスズキのBセグメントサブコンパクト『スイフト』第4世代モデル。そのうちマイルドハイブリッドのスポーティグレード「ハイブリッドRS」、ターボの「RSt」、アイドリングストップなしの快適性重視グレード「XL」の3種をショートドライブしてみたのでリポートする。

ハイブリッドRSに続いて試乗したのはRSt。違いはパワートレインのみで、エンジンが1リットル直噴ターボ、変速機がアイシンAWの6速自動となる。ハイブリッドRSと異なり、アイドリングストップはつかない。

RStのターボエンジンはレギュラーガソリン仕様で、日本にも投入されているアジア戦略車『バレーノ』のターボ「XT」(プレミアムガソリン仕様)に比べてパワーが9psダウンの102ps、トルクが1kgmダウンの15.3kgm。その違いは意外に顕著で、バレーノをドライブしたときに「わっ速い!」と思わされたようなフィールではなく、あくまで軽快に走るという水準にとどまる。日本もレギュラーガソリンが欧州と同じ95オクタンになればハイスペックのままで行けるのにと思うと、日本の燃料規格がちょっとうらめしくなるところだ。

もっとも、それはバレーノと比較しての話で、ハイブリッドRSと比べるとパワー、ダイレクト感ともに格違いであった。軽量車体も手伝って欲しい加速がすぐに得られるうえ、フィールも爽快感があった。ターボは回転が上がる途中でドバッとトルクが出るタイプではなく、スロットルの踏み込み量に応じて適切にトルクが増減するリニアな特性を持っていた。

このあたりの性格付けはバレーノとよく似ている。また、バレーノで山岳路を走った時はパドルシフトによるシフトアップ・ダウンのレスポンスの良さがとても楽しく感じられたが、RStでちょっとパドルシフト操作をやってみたところ、同じようなチューンがなされているものと推察された。

燃費も意外に良かった。メーターパネル内のインフォメーションディスプレイには瞬間燃費と平均燃費がカラーグラフィックで綺麗に表示されるのだが、2名乗車で高速と市街地の両方を走った結果、表示上の燃費値は19.0km/リットル。走行パターンは大幅に異なっていたが、数値的にはRSハイブリッドを上回った。

RStでは短距離ながら東関東自動車道もドライブしたが、高速道路での動きの良さは名作だった旧型を十分に上回るものだった。直進時は走行抵抗の少なさを生かし、スロットルをちょい踏みするだけで100km/hを十分に維持することができ、緩いカーブでの安定性もとても良いものだった。道路の段差や舗装の荒れの“いなし”がもう少し良くなれば、新シャシーのポテンシャルがさらにポジティブな形で表れてくることだろう。

RStはアイドリングストップがないため、大混雑した市街地では燃費が落ちることが予想されるが、普通の市街地でも今回のように流れが悪くなければリッター10km台後半を楽にキープすることができる。地方部に住み、カーブやアップダウンのきつい山道もノーストレスで走りたいという顧客には良い選択肢ではないかと思われた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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