博士から研究者は当たり前? 文科省が意識改革を推進

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 文部科学省は、1月16日開催の人材委員会における配付資料をWebサイトに掲載。博士人材の社会における活用促進について、これまでの検討を整理した概要案にて「博士課程を修了したら全員が大学の研究者になるのが当然」という価値観に縛られない、意識改革が重要とした。

 平成13年に設置された人材委員会はこれまで、大学院博士課程の改善や女性研究者の活躍促進に向けた取組みなどについて検討を行い、提言をまとめてきた。第8期人材委員では、博士人材を「育成する場」(大学院博士課程)の動向を念頭に置きつつ「活躍する場」(学会や産業界などの多様な場)に焦点をあて今後の取組みの方向性について検討。平成29年1月16日に開催された第77回会議の配付資料として、これまでの検討を整理した概要案が公表された。

 「知のプロフェッショナル」である博士人材は、大学などのアカデミアの場はもとより、産業界をはじめ社会の多様な場で活躍することで、科学技術イノベーションの可能性が広がるという。現状として、ポスドクなどの若手研究者の多くは、大学などアカデミアの場での研究志向が強いが、大学や公的研究機関は若手教員(研究者)の任期なし雇用が減少・任期付き雇用が増加するなど、安定した研究環境の確保が課題となっている。

 今後の取組みの方向性として、博士人材はもとより、大学や民間企業などの関係者を含めた社会一般に対して「博士課程を修了したら全員が大学の研究者になるのが当然」という価値観に縛られず、博士人材のさまざまな場での活躍の可能性を広く発信し、意識改革を促すことが必要とまとめた。

 当面取り組むべき方策の方向性は、「博士人材や大学、民間企業などの関係者の意識改革」「産学官を越えた新たな人事・人材育成システムの構築」「分野、組織、セクターなどの壁を越えた人材の流動性促進」の3点。

 博士号取得者の就職状況は分野によって大きく異なるため、大学における博士号取得者の進路や活躍状況の把握、教育カリキュラムの見直しなどの活用、民間企業の採用では重視している知識・能力・経験、採用後のキャリアパスや処遇の明示などをあげた。また、メンターなどを配置した大学では、博士人材が既存観念を変えるなどキャリアパスの構図が徐々に変化していることから、専門のメンターやコーディネーターの配置促進を促す考え。このほか、卓越研究員事業において、異なるセクター間(大学と企業など)のクロスアポイントメント制の活用促進などを提示した。

 今後は、研究支援人材などの「職」、女性を含めた「人材」の多様性を視野に入れた方策などを引き続き検討していくという。

《黄金崎綾乃》

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