【スバル インプレッサ 試乗】安全性と利便性を天秤にかけないでください…岩貞るみこ

試乗記 国産車
スバル インプレッサ
スバル インプレッサ 全 5 枚 拡大写真

あいかわらず、しみじみいい『インプレッサ』の走りである。正常進化、磨きがかかるとは、こういうときに使う言葉だと改めて思う。

ハンドルを動かすと、しなやかにクルマが向きを変えていく。そのままアクセルを踏み込むと、後輪からぐっと蹴り出すようにコーナーの出口へとクルマを向かわせる。乗るたびに、スピードスケートの選手がコーナーの入り口で、氷をコーナーのアウト側に向かって強く蹴るシーンが思い浮かぶ。繊細に氷をつかみ、しっかりとトレースをしながらも力強く的確に。惚れ惚れとする。

でもクルマは走りだけでは選べない。一番、長い時間、視界に入るインテリアの雰囲気が、自分の好みであるかどうかは重要なポイントだ。デザインは好き嫌いの世界なので、それはいい。問題は質感。そういう視点でいくと、インプレッサの質感は、どうにも物足りない。同じ価格帯のクルマに比べると、違和感ない仕上がりなのだが、走りがよすぎるだけに、どうしてももっと上を期待してしまう。贅沢な悩みと言われても、人間の欲には限りがないのである。

欲ついでに書かせてもらうと、シートベルトのバックルが気に入らない。いままでのスバル車に比べて、バックルが長く伸びるように生えているのだ。私(身長170cm、体重50kgというユ◯クロのLサイズぴったりな体型)が座ると、腹部のあたりでシートベルトが浮く。隙間があるのだ。

安全性を押し出すインプレッサ。日本カーオブザイヤーも獲得したインプレッサ。でも、救命救急センターの取材をして、シートベルトが腹部にダメージを与える症例を見てきた身としては、この隙間が気になってしかたがない。ほとんどの体型では隙間は出ない。だから問題はないのかも。でも、私の場合は出る。その立場で敢えて書く。長く伸びているほうが、大柄で、腹部回りのゆたかな男性はかけやすいんでしょうが、利便性と安全性を天秤にかけて、利便性をとるのはやめてほしい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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