【MINI クロスオーバー 海外試乗】1ランク上に市場を作った“元・異端児”…石井昌道

試乗記 輸入車
MINI クーパーS カントリーマン ALL4(日本名:クロスオーバー)
MINI クーパーS カントリーマン ALL4(日本名:クロスオーバー) 全 12 枚 拡大写真

発売当初はサイズが大きめなこともあってMINIの中の異端児的に見られていた『クロスオーバー』だが、日本での販売は1、2位を争うほどの人気になった。MINIは好きだけれど3ドアでは不足という人にとってはかっこうのターゲットになったのだ。その後に加わった5ドアとともにMINIブランドの拡販に貢献してきた。

その流れを受けてか、MINIのポートフォリオ戦略は変化。以前はBセグメントだけだったが、一昨年11月に発売した『クラブマン』は大型化してCセグメントへと上級移行した。新型クロスオーバーも同様でCセグメントMINIの第2弾となる。Bセグメントでいくら車種を増やしてもパイの奪い合いになってしまうが、VW『ゴルフ』やメルセデスベンツ『Aクラス』などが属するビッグマーケットに挑めば新規ユーザー獲得に期待が持てるわけだ。

クロスオーバーとしては2代目になる新型は、従来モデルに比べて全長は200mm、ホイールベースは75mm長く、全幅は30mm広くなった。室内空間ではとくに縦方向の余裕が増し、後席は130mmのスライドが可能。大人が座っても窮屈さはなく余裕がある。ドア開口部や足元も広がっているのでアクセス性もよくなった。

広さや利便性だけではなく、高級感が増していることも特徴だ。クラブマンも含めてCセグメントMINIは1ランク上の存在としてインテリアの素材などでも差別化が図られている。

走りにも高級感が漂う。MINIはゴーカート・ハンドリングがウリの一つ。それを追求しすぎると乗り心地は硬く、上下動がせわしない方向へ行きがちだが、クロスオーバーのサスペンションはスムーズにしっとりとストロークし、MINI史上でもっとも快適な乗り心地になっている。

今回の試乗車は「クーパーS」だったが、まず日本へ導入されるのはディーゼルの「クーパーD」、「クーパーSD」のみ。後にPHV(プラグイン・ハイブリッド)の「クーパーSE」が追加されるが、普通のガソリン・モデルの導入予定はないそうだ。

ちなみにBセグメントMINIのクーパーDは3気筒1.5リットル+6AT だが、CセグメントMINIは4気筒2.0リットル+8ATとなる。リーズナブルなほうのモデルでもパワートレーンは滑らかでドライバビリティも良好だろう。

MINIはプレミアムな分、価格もそれなりに高価だが、新型クロスオーバーは動的にも静的にも質感が高く、満足度は高い。スポーティさでは3ドアなどに譲るが日常域ではむしろ付き合いやすいはずだ。

石井昌道|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

《石井昌道》

石井昌道

石井昌道|モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストに。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイクレースなどモータースポーツへの参戦も豊富。ドライビングテクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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