『北海道時刻表』に改題した『道内時刻表』…背景に「着後購入」効果

鉄道 企業動向
左が『北海道時刻表』3月号、右が『道内時刻表』としては最後の号となった2月号。
左が『北海道時刻表』3月号、右が『道内時刻表』としては最後の号となった2月号。 全 3 枚 拡大写真

北海道の地域版時刻表といえば、交通新聞社北海道支社が発行している『道内時刻表』が有名だが、同誌は2月20日発売の3月号から『交通新聞社の北海道時刻表』に改題されている。

『道内時刻表』のタイトルが登場したのは今からちょうど50年前の1967年。当時は交通新聞社北海道支社の前身である弘済出版社北海道支社が発行していた。地域版時刻表の中で北海道版はメジャーな存在で、かつては日本交通公社(現在のJTBパブリッシング)から『交通公社の国鉄監修北海道時刻表』(後の『北海道時刻表』)が、北海道ジェイ・アール・エージェンシー(JR北海道の関連会社)から『北海道ダイヤ時・刻・表』も発売されていたほどだった。

発刊の歴史としては、1944年に創刊した『交通公社の国鉄監修北海道時刻表』が古く、1960年1月には弘済出版社北海道支社の前身である北海道弘済出版が『北海道時刻表』を創刊。これが『道内時刻表』のルーツとなった。北海道弘済出版が弘済出版社北海道営業所へ移行した後の1964年3月号ではさらに『北海道全線時間表』に、1965年2月号では『北海道全線時刻表』に改題され、1967年3月号では『道内時刻表』に。以後、半世紀にわたって同誌は鉄道を中心とした北海道旅行のバイブルとして君臨した。

交通新聞社北海道支社によると、今回の改題は、時刻表のニーズが紙からデジタルへ移行しつつある時代であるにもかかわらず、北海道内に到着した観光客が現地で『道内時刻表』を購入する、いわゆる「着後購入」の比率が高まったことが背景にあったという。『道内時刻表』は元々、本州での購入比率が高かったが、昨年3月の北海道新幹線開業が「着後購入」を後押しすることになり、『道内時刻表』の一般販売が増加傾向に転じた。その波及効果は、新幹線が通じている函館エリアのみならず、旭川や帯広エリアにも現れており、新幹線開業の直接効果に加え、空路で来道して時刻表を購入後、鉄道旅行を楽しむという間接効果も産み出している。

また、来年に迎える「北海道150年」に向け、産業界が「道産米」→「北海道のお米」、「道東」→「ひがし北海道」といったように呼称変更することで北海道のブランド化を推進していることも改題の要因となっている。

これらの事情を鑑み、北海道で馴染みがある「道内」という言葉よりは、本州の人々に馴染みがある「北海道」という言葉を入れたほうが妥当であると判断されたわけだ。

ダイヤ改正号となった『北海道時刻表』3月号は、一部書店では品切れ状態となるほど好評で、インバウンドのケースでも、「北海道」に改題したことで、北海道鉄道旅行の記念品となる副産物も得たようだ。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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