【ATTT 2017】自動車業界にも「定額制」を---夏野剛氏とIDOM北島昇氏が登壇

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株式会社IDOM 執行役員 新規事業開発室長の北島昇氏
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17日、ATTT17のセミナー会場では『自動車定額制時代のビジネスモデル』と題した講演が行われ、慶応義塾大学大学院にて政策・メディア研究科の特別招聘教授を務める夏野剛氏と、株式会社IDOM(旧ガリバーインターナショナル)の北島昇執行役員が登壇。自動車の保有意欲が減少傾向にあり、レンタカー型カーシェアリングの利用率が増えつつある現状を踏まえながら「自動車の定額制」をテーマに活発な議論が交わされた。

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IT業界における「課金システム」の変遷と「定額制」のメリット

まず始めに、あらゆる面で先行しているIT業界のビジネスモデルの変遷について夏野氏が解説。1999年に登場したNTTドコモの携帯電話IP接続サービス「iモード」により月額課金の概念が持ち込まれ、安定した収益を得られるビジネスモデルとして日本で主流となった。スマホの時代になると、電子書籍やソーシャルゲームの利用において都度課金が浸透したが、その後「Netflix(ネットフリックス)」などの動画配信サービスが開始され、ここ5年ほどの間に月額課金の概念が世界的に復活。そのような流れの中で、パソコンやスマホ以外の定額制として、個人向けのカーリースやカーシェアリングが着目され始めていることが伝えられた。

さらに夏野氏は、定額制について「サービスの利用にお金を払っているのではなく、いつでもサービスを利用できる権利にお金を支払っている」と説明。定額制にすることで、サービスを提供する際に発生する固定費を確実に回収し、全体のサービスを安くできるメリットがあることに加え、契約期間中は安定した収益を見込めることが定額制の大きなポイントだと述べた。

自動車業界でも定額制のサービスが登場

IT業界のビジネスモデルとして定額制が定着する中、自動車業界でも様々な定額制のサービスが登場している。その一例として、株式会社IDOMの新規事業開発室長である北島氏が、2016年8月から自社で展開している月額定額クルマ乗り換え放題サービス「NOREL(ノレル)」を紹介した。

同サービスの特徴は、月額定額49,800円で最短90日からクルマを自由に乗り換えられるところ。高級車から軽自動車まで100種類以上の車種があり、利用時にかかるコストは駐車場代、ガソリン代、メンテナンス費のみ。月額料金の中に自動車保険(自賠責・任意保険)が含まれており、税金(自動車税、重量税)の支払いは不要で車検の必要もない。

レンタカーでもカーシェアリングでもなく月額定額で車を保有する、これまでになかった“新しい車の乗り方”として大きな注目を集め、先行予約時に約2,500名の会員登録が殺到。24時間で予約受付が終了するほどの大反響となった。現在は一都三県(東京・千葉・神奈川・埼玉)で特定会員のみにサービスを展開中だが、今夏からサービス内容をブラッシュアップしエリアの拡大も予定。なお、3月22日時点で新規会員の申込受付は停止されている。

北島氏は、まず始めに「車の所有から利用へ、時代が変わっていっていると言われていますが、移っていません。所有をしたい方、しなければならない方は、まだまだたくさんいます」と断言。その上で、車を所有しているユーザーに、所有と近いサービスを提供したいという思いから、NORELを展開したことを語った。

また、定額制であることよりも「一番大事にしているのは選択の自由。乗り換えられる自由です」と述べ、販売価格が固定されている100円ショップで商品を探すとき、いろんな物を買ってしまいがちなことを例に挙げ、同じような感覚で、たくさんの車種の中からライフスタイルに合わせて気軽に車を乗り換えられるところが最大の魅力だとアピールした。

「定額制」が自動車業界で普及する可能性

事業者にとって定額制のビジネスモデルは魅力的でメリットが多い。しかしながら、ユーザーにとっては囲い込まれる怖さがあり、契約を躊躇するケースも少なくない。その点を踏まえた上でも、自動車業界では今後ますます定額制が広がっていくと夏野氏は言う。

その理由として「クルマ本体以外は、みんなサブスクリプションに近い支払い方をしている。駐車場代、保険代、メンテナンス費は車に乗っている間ずっとサポートしてほしいものなんです。NORELのように毎月お金を支払うことで、全部サービスとしてやってもらえるほうが良い」と伝えたあと、ユーザーは継続的なサポートを求めているのに「ディーラーは車検の時だけ連絡し、買い替えやメンテナンスなど費用がかかる提案をする。今の自動車業界のビジネスモデルは、消費者から見るとあまりピンとこない」と率直な意見を述べた。

このあと、クルマ好きの割合に関する話題になり、夏野氏が「車を買っている人の95%ぐらいは、そんなにクルマ好きじゃないだろうと。僕もクルマ好きじゃないし、運転手さんに運転してもらうのが一番快適。そういう人が大勢いることを前提にした仕組みになっていない」と話すと、北島氏は「夏野さんのおっしゃる通りで。私なんかは代表格で免許証を持ってないんですよ」と衝撃の事実を告白。さらに北島氏は「どこまでクルマ好きかっていうのはあるものの、NORELでは、売れない車や買われない色の車が乗られています。車との向き合い方が変わってきている」と述べ、NORELをリリースした後に駐車場の有無に関する問い合わせが多数あり、普段車に乗っていないユーザー層を獲得できる可能性が出てきたことを語った。ちなみに、NORELでは駐車場の用意や貸出しは行っていない。

大多数のユーザーから支持されることが重要

定額制がユーザーにもたらす利点として夏野氏は、車を購入したときのエピソードを語り「車庫証明書、保険の加入、いろいろな手続きがあまりにも面倒で辟易した。定額制にすれば、そういったことを全部パッケージにしてワンストップにできます。ユーザーに面倒なことをさせるとマーケットは縮小する」と語り、自動車業界で定額制のサービスが普及することを懇願していた。

そして北島氏は、自社の今後の展望として「車を売る、買う、貸す、借りる、使う。これらを展開しながらプラットフォームにしていきたい」と述べたあと、「今後、自動運転の普及が進むと車だけを持っていても価値にならない。移動需要にどう寄り添うか、いろんな切り口で、車ではない手段を考えなければならない」と思いを語った。

自動運転やコネクテッド化など、プロダクトの進化は止まらない。変化が激しい自動車業界の新しいビジネスモデルとして「定額制」はとても重要になってくるだろう。クルマ好きはもちろん、普通に車を利用している大多数のユーザーから支持されるサービス形態を真剣に考えて実現していくことが、今後の自動車業界に求められている。

【IAAE17&ATTT17】自動車業界にも「定額制」を! 夏野剛氏とIDOM北島昇氏が持論を展開

《編集部》

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