ホンダモーターサイクルジャパン加藤社長「現状に危機感」…販売網再編を語る

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ホンダモーターサイクルジャパン 加藤千明 社長
ホンダモーターサイクルジャパン 加藤千明 社長 全 4 枚 拡大写真

ホンダの国内2輪車販売を担うホンダモーターサイクルジャパンの加藤千明社長は東京モーターサイクルショー2017会場でインタビューに応じ、2018年4月に実施する販売網再編について現状の体制に危機感があることを明かした。

ホンダの現在の国内2輪車販売体制は全モデルを扱う「ホンダ ドリーム」、「プロス ウイング」、「プロス」と、250cc以下のモデルを扱う「ホンダ ウイング」、「ホンダ」の5系列、全5500店となっている。

これを18年4月からは全モデルを扱うホンダ専売店の「ホンダ ドリーム」と、ホンダの250cc以下のモデルおよび他社製品も併売する「ホンダ コミューター」の2系列に再編する。18年4月時点でホンダ ドリームは150店、ホンダ コミューターが5350店と現在の店舗数5500のままとなるが、2020年までにホンダ ドリームを200店まで増やす計画。

加藤社長は新たな販売系列について「ホンダ ドリームは黒を基調とした外観に、誇りと感動を想起させる立体感のあるシルバーのウイングマークへと一新する。ホンダ コミューターはお客様にわかりやすく親近感のある赤いウイングマークを全面に2018年4月移行、順次変えていく」と解説。

ただその一方で「お金をかければ店舗はきれいになる。ただお金をかけてきれいにして『新しいドリーム店でございます』というだけではお客様にはご満足頂けない。要は量を追うということではないと思う。これまで2輪車販売はいつもいつも量を追いかけてシェアばかり言っていて、結果的に失ったものが多いのではないか」と指摘する。

というのも「お客様がどんどん変化していく中で、我々の2輪の商売がそれをきちんとアクセプトして付いてきているかというと、やはりちょっと遅れてしまっている。もっとはっきりいうと、自転車の方が販売店として進んでいる。アサヒやイオン自転車など、販売網として見た時に2輪業界よりも先を行っている」との危機感が加藤社長にあるからだ。

さらに「お客様も変化し、商品もどんどん高機能化している。コンピューターが5軸とか6軸バランスをとりながら走っていく、そういうものをきちんとベストコンディションでお客様に提供するには、販売店が持っているサービスの技能もどんどん上げていかないといけない」とも。

その上で「スーパースポーツモデル『CBR1000RR SP』の価格は246万2400円。例えば250万円の宝石を買おうとした場合、やはり銀座の和光へでも行ってみようと思うのが普通だと思う。だからお客様にお支払い頂く対価に見合った付加価値のあるモデルを、付加価値のある販売店できちんと売っていかないと、2輪車のビジネスは将来がないのではないかと考え、今回の施策につながっている」と、販売店網再編の背景を加藤社長は語った。

新たな販売系列のうちホンダ ドリームは、海外2輪車メーカーが展開する専売店を意識したものといえる。加藤社長も「輸入車ディーラーを意識していないといえば嘘になる」と認めた上で、「お客様に提供できる付加価値といった、プライオリティの付け方をちょっと間違ってきたようなところが我々にはあった。一方の海外勢はそういうところをきちんとやられてきた。それは素晴らしいところで、我々が勉強しなければいけないところはたくさんあると思っている」と語った。

新販売系列への移行に向けた品揃えも気になるところだが、加藤社長は「新しい販売網がお客様を引き寄せられるような魅力的な店舗となるような考え方をしている。今秋の東京モーターショーで展示する商品は基本的に新しい販売網で売って頂く形につなげていきたい」との見通しを示した。

《小松哲也》

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