【試乗】乗り心地・静粛性を追求した、ダンロップ ル・マンV の気になる運動性能

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ダンロップ ル・マンV比較試乗走行会
ダンロップ ル・マンV比較試乗走行会 全 24 枚 拡大写真

いまやコンフォートタイヤとしてすっかり定着した感のあるダンロップ「ル・マン」だが、発売された1980年頃は、ハイソカーやGTカーの定番タイヤのひとつとして、運動性能もウリにしていたタイヤだ。

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昨年12月に発表された『ル・マンV』では、「SHINOBIテクノロジー」によってさらに快適性が向上したという。乗り心地をよくするためにサイドウォールの柔軟性を上げ、トレッド面のゴムも感触がやわらかくなっている。すると、気になるのはグリップや加減速性能のような運動性能だ。

カタログ上では、ドライ性能、ウェット性能、燃費性能は先代モデルとなる『ル・マン4』と変わらない(ライフ、乗り心地、静粛性が向上)となっている。しかし、プレス資料などを見ると、タイヤ側面の剛性はどうなのだろうかと思わざるをえない。

と思っていたところに、ル・マンVを試乗できる機会を得た。しかもル・マン4との比較試乗もできるということなので参加してみた。

試乗コースは淡路島の高速道路と一般道。当日の天候は晴れ。路面コンディションは完全ドライ。気温は12度。試乗した車は、アウディ『A4』、トヨタ『マークX』、フォルクスワーゲン『ゴルフ7』(これらはル・マンVの試乗)と『プリウス』、『ノート e-POWER』、『C-HR』(これらはル・マン4とVの比較試乗)の6車種だった。

まず、比較しなくてもわかるのは静粛性の向上だ。一般道、高速道路ともにノイズレベルが下がっているのがわかる。4でさえ十分快適なタイヤなのだが、比較試乗でVを乗ってしまうとやはりうるさく感じてしまう。とくに「ゴー」というような低音、こもるようなノイズが相当抑えられている。ル・マンVでは、乗り心地をよくするためのサイドウォールの柔軟性と形状が、タイヤのたわみを均一化してくれるのだが、同時にタイヤ変形によるノイズを抑えてくれるそうだ。

サイドウォールやトレッドパターンにより、路面の「あたり」を柔らかくしているとなっているが、正直なところ比較試乗でもその違いはかなり小さい。高速の継ぎ目や大き目の段差・ギャップで確かに突き上げ感が少しやわらいでいるか、という程度だ。しかし、その音はかなり違う。Vのほうが全体のノイズレベルが低く、ギャップの突き上げ音が小さい。例えば、荒れた舗装や古くなって細かい凹凸がある舗装では、ロードノイズが高音になるが、4とVの比較ではVの方が高音ノイズが低くなっている。

ル・マン4もサイレントコア(特殊吸音スポンジ)は採用されているため、静粛性は十分高いのだが、Vでは乗り心地性能のアップが静粛性向上にもプラスに働いているようだ。

路面の衝撃を吸収するという特性において、確かにVの方がよくなっているのだと思うが、体感レベルでは、低音から高音域まで、縦溝が出す音、横溝が出す音(一般に速度が上がるほど高周波になる)、ギャップを拾う音、すべてが静かになっていることが乗り心地の良さにつながっている。

たとえば試乗車のゴルフ7は、走行距離が2万7000km以上で、アイドリングストップなどのエンジンの振動をそれなりに気になるレベルだったのだが、発進加速やブレーキングは非常になめらかに感じた。プリウスやノートなど4と比較した車種でも運転のなめらかさ、加速のしやすさはVが上だったと感じた。

さて、肝心の運動性能だが、Vの剛性感の高さ、グリップ力は予想を裏切る形となった。やわらかくして乗り心地を向上させたと言っている割には、タイヤの剛性感はしっかりしていた。どの車種でもサスペンションの特性が影響するので、純粋にタイヤの性能だけというのは難しいが、高速道路のレーンチェンジなどのグリップ感、インターの出入り口ランプなどの安定性は、さすが「ル・マン」というレベルだ。

C-HRのような腰高な車(試乗車の中では)だと、タイヤの違いがよくわかるが、レーンチェンジでステアリングを直進に戻したあとのヨーモーメントの残りというかタイムラグは4よりVが少ない。クルマの性能範囲以内であれば、サイドウォールのたわみを均一化させる効果が運動性能に働いているものと思われる。

なお、試乗した車では、アウディやマークXのような高級セダンとの相性の良さを感じた。とくにマークXはサスペンションとのマッチングがいい。プリウスやノートは静粛性の違いがはっきり感じられるが、かえって風切り音が聞こえやすくなったり、サスペンションよりタイヤの性能が勝っているような印象があった。C-HRについてはSUVということで、若干評価が難しかった。運動性能などはSUV用のタイヤとの比較を行う機会を得たいと感じた。

(協力:住友ゴム工業)

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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