【ドライブコース探訪】瀬戸内で極上のカキフライ定食に出会う

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備前 海の駅のカキフライ定食790円
備前 海の駅のカキフライ定食790円 全 6 枚 拡大写真

瀬戸内ドライブの楽しみのひとつは海の幸を味わうこと。正月に岡山を通りがかったときは岡山・瀬戸内市の虫明(むしあげ)で焼き牡蠣を試してみたが、3月にマツダ『デミオ』でツーリングを行った際、そのお隣の備前市でなかなか美味しいカキフライに出会ったのでリポートする。

そのカキフライが売られていたのは、瀬戸内市と備前市を結ぶ無料の自動車道路「岡山ブルーライン」沿いにある「備前 海の駅」。ここを通るとき、毎回のようにその大きな看板が目についていたのだが、3月はちょうどお昼時に通りがかったので、何かランチでもないものかとちょっと寄り道してみた。

どのようなところかと行ってみたら、大型の海産物売り場とスーパーが合体したような店舗。山陽マルナカという生鮮食品ストアチェーンが経営母体だ。海の駅というだけあって、海産物は多種多様。小ぶりの瀬戸内産穴子の開きがかなりの安値で売られているのは魅力的だったが、ロングツーリング中に生ものを買うわけにもいかない。口惜しいところである。

その海産物販売コーナーの隣りに食堂エリアがあった。お洒落なレストランスペースではなく、セルフサービス式の、ごくありふれた大衆食堂。掲げられているメニューを見ると、うどんやカレーライスなど普通の料理から各種海鮮丼まで、ラインナップは幅広いが、とても格別美味しいモノを出すようには見えなかった。

しかし、せっかく立ち寄ったのだから何か食べていくかと思って看板を見ると、「新名物メニュー あなごめし定食」というなかなか魅力的なものが目についた。お値段は790円とリーズナブルだ。そして、その隣りには「季節限定 岡山県産カキフライ定食」なるものが。

カキフライには産地が書いてあってあなごめしのほうには書いていないということは…いやしかし、鮮魚売り場で穴子を開いたのがあんなに安く売っていたのだから、書いてないだけで瀬戸内産かも…などと思い、店員さんにたずねてみたら「いえ、瀬戸内産じゃないんですよ~」との返事。やっぱり確認は大事だ。まあ、正直に答えてくれるあたり、信頼感はわくというものである。

せっかくなら瀬戸内のものを食べなきゃということで、カキフライ定食をオーダー。すいているわりには調理時間が結構長いな~と思いながら待っていると、やがてブツが出てきた。見ると、結構立派なつぶ立ちのカキフライが盛られている。しかもパン粉はエッジがきっちりと立っており、香ばしそうだ。冷凍品や作り置きではなく、ちゃんと注文を受けてから衣をつけて揚げてくれているのだ。さらにカキフライの横には、九州人としては心が躍ってしまうくらい大量のタルタルソースが添えられていた。

セルフサービスコーナーには普通の中農ソースも置かれていた。食べ比べのため、それを小皿に取り、席についてまず何もつけずにひと口。これは美味い。わざわざ立ち寄った甲斐があると思うようなジューシーな仕上がり。食堂の見かけの雰囲気や配膳のクオリティだけではわからないものである。次にタルタルソースをつけて食べてみる…これまた素晴らしい。まさしく懐かしの昭和の味である。小皿に取ったソースをつけて食べてみると…うん、タルタルソースのほうが合っているかな。

780円でこのクオリティのカキフライ定食が食べられるとは、さすが牡蠣の本場の面目躍如などと思いながら完食したのだが、その食堂に面白そうな張り紙が。近隣の漁港、日生(ひなせ。備前は地味に難読地名が多い)の案内だ。そのチラシによれば、日生では町おこしのために「カキオコ」なるものが売られているらしい。単なる牡蠣入りお好み焼きだろうと思ってお店の人に聞いてみたところ、カキオコはすでに10年以上の歴史があり、牡蠣の含有量が通常の牡蠣入りお好み焼きに比べて格段に多いとのことだった。

すでにカキフライで満腹状態だったのだが、チラシにはさらに魅力的な文言が書かれていた。「ジューシーなカキの風味とおねえさんとの楽しい話が味わえる町『日生』」。えええ~そんなプレミアムなお楽しみがあるのか!近くだから行ってみよう、満腹でもカキオコのひとつくらいは完食できるだろうと意気込んだのだが、カキオコを出す店の案内を読むと、何とおねえさんとの楽しい話が味わえそうなお店はこぞって訪問当日の水曜定休。

営業時間はお昼がメインということは、漁師さんをメインの顧客層としていることは明らか。きっと日生は水曜が休漁日なんだろう。おねえさんとの楽しい話をあきらめてカキオコだけを食べるのであれば選択肢がなくもなかったが、せっかくなら最高のプレミアムを味わいたい。また牡蠣の季節にここを通ることもあるだろうと思い、日生でのお楽しみは次回に回すことにした。

瀬戸内ドライブといえば山陽自動車道や国道2号線が移動の主力だが、海沿いのひなびた街道にはメインルートにはないお楽しみがいっぱい転がっていそうな気配。またいろいろと開拓したいという気にさせられたドライブのひとコマであった。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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