ヤマト運輸、「デリバリー事業の構造改革」について発表

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ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸は、2017年度「デリバリー事業の構造改革」の内容を決定、4月28日に概要を公表した。「構造改革」は、企業価値向上に向けた持続的成長と収益力強化を目的とする。

「構造改革」の内容は下記の5点。
(1)社員の労働環境の改善と整備
(2)宅急便の総量コントロール
(3)宅急便ネットワーク全体の最適化
(4)ラストワンマイルネットワークの強化による効率向上
(5)宅急便の基本運賃と各サービス規格の改定

ヤマト運輸によると、デリバリー事業を取り巻く経営環境は、想定を上回る宅急便取扱数量の増加と、労働需給の逼迫により、急激に変化している。コスト面では、人件費の高騰に加えて、外形標準課税の増税、社会保険の適用範囲拡大などの費用増加があげられる。

(1)社員の労働環境の改善と整備

ヤマト運輸では4月16日より、労働時間の管理を入退館管理に一本化した。管理者と点呼執行者を増員し、社員証をかざさないまま、あるいはかざした後に業務を行なわないようにする。

ワークライフバランスの改善のため、4月24日より、顧客からセールスドライバーへの直通電話を、昼の休憩時間と午後7時以降はサービスセンターに転送するようにした。また8月16日から、昼の休憩時間中のポータブルポスの利用を全国で停止する。

配達時間の設定も変更し、4月24日から、当日再配達の受付時間を20時から19時に1時間繰り上げた。6月19日からは配達時間の指定枠を見直し、社員の長時間労働の一因となっていた「20時-21時」を「19時-21時」に変更、また昼休憩がしっかりと取れるよう「12時-14時」の枠を廃止する。これにより従来の6区分が5区分になる。

(2)宅急便の総量コントロール

現状の体制に見合った水準に宅急便の総量をコントロールし、集配体制の立て直しを図る。年間の宅急便取扱量の約9割を占める法人顧客、その約半数を占める大口顧客に、出荷調整や複数荷物をまとめて配達する仕組みの構築など、集配効率の向上や再配達の削減に向けた協力を、9月中までを目処に求める。また、法人顧客の契約運賃の決定プロセスを精緻化・均一化するため、輸配送のオペレーションコストを総合的に反映できるシステムの構築を検討する。

(3)宅急便ネットワーク全体の最適化

10月の関西ゲートウェイの稼働を契機に、宅急便ネットワーク全体の最適化と維持・運営コストの低減を図る。

(4)ラストワンマイルネットワークの効率向上

オープン型宅配ロッカーの導入など受け取りチャネルの拡充、コースナビゲーションなどITを活用した集配作業の高度化で、セールスドライバーの負担を軽減する。いっぽう、クロネコメンバーズのサービス拡充により受け取り環境を改善し、送り状のデジタル化、宅急便センターへの直送や持ち込みなど、配達効率の向上や再配達の抑制に協力できる個人顧客への割引を拡充する。

(5)宅急便の基本運賃と各サービス規格の改定

新たな労働力の確保や社員の処遇改善、またラストワンマイルネットワークの強化のため、9月末までに宅急便基本運賃と、各配送サービスの規格を改定する。宅急便基本運賃(税抜き価格)は、現行の運賃に140~180円を加算する。スキー宅急便、ゴルフ宅急便、スーツケースなどの規格は、サービス開始当時に比べ、レジャー用品が大型化したため、規格を拡大する。

なお、中期的な成長戦略の具体案については、9月に発表予定の「ヤマトグループ中期経営計画」の中で報告する予定だ。

《高木啓》

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