【ルマン24時間】トヨタの村田久武・開発リーダー…「クルマ全体として強くなかった」去年の反省

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今季WECでは開幕2連勝のトヨタ(前)。ルマンでもポルシェ(後)を打ち破ることができるか。
今季WECでは開幕2連勝のトヨタ(前)。ルマンでもポルシェ(後)を打ち破ることができるか。 全 8 枚 拡大写真

19日に都内でルマン24時間レースに向けてのメディア説明会を実施したトヨタGAZOOレーシング。マシン開発を統べる村田久武氏は、昨年ゴール目前で初の総合優勝を逃した反省にも基づき、必勝を期して一層厳しい姿勢で今季に臨んでいる旨を語った。

昨年、ルマンを含む世界耐久選手権(WEC)にトヨタの最新鋭LMP1-Hマシン「TS050ハイブリッド」がデビュー。ルマンのコースに特化した性能を追求し、シリーズタイトル(14年に獲得経験あり)よりもルマン初優勝に主眼を置いて、村田久武氏(現・GR開発部長 兼 ハイブリッドプロジェクトリーダー)らトヨタ開発陣はTS050に全力を傾注した。

そして実際にレースでは中嶋一貴組が優勝目前まで迫る。しかし、最後3分のところでマシントラブル発生、勝利をポルシェに譲るような格好でまたもトヨタは敗れ去った。

今度こその挑戦となる今季、TS050はさらに大きく生まれ変わっている。

「レギュレーションで今年はモノコックがキャリーオーバーですから、基本デザインは変わっていません。でもそれ以外の部分は徹底的に見直しました。エアロ(空力)コンセプトも一新しましたし、冷却もそう。スペック表ではそんなに変わっていないかもしれませんが、まったく違うものなんです」(村田氏)

そしてそこには、「大反省しました」という昨年の教訓も活かされているという。

「昨年、自分たちは本当に『すべてやりきったといえるのか』。もちろん、やったつもりでした。難しい技術や難しい(高度な)部品、そういったものに関して徹底的にやりました。ただ、クルマ全体を見渡した時に(結果として)クルマ全体が強いクルマになっていなかった。キーになる部品同士をつないでいる、真ん中の部品、それについての製作条件や組み付けの確認というところまで本当の意味で気が配れていなかったから、ルマンでああいう結果になったんだと思います」

複雑なLMP1-Hマシンを構成する様々な部品。最新の高度なものに対するのと同等の細心さをもって、真ん中の(普通の)部品にも対処する。去年の出来事も決してトヨタの油断や慢心が招いたわけではないと思うが、村田氏らは自身に厳しい目を向け、今年の捲土重来に向けて邁進してきたのだ。

WEC開幕2連勝を飾って臨むルマン(WEC第3戦)。今年は通常の2台に1台をプラスしての3台体制で臨む。前哨戦の第2戦スパ・フランコルシャンから既に3台体制稼働中だが、ライバルのポルシェは2台。数的優位の戦いを挑めることは、もちろん強みになる。「望まないような事態が起きるのが24時間。3台でやれることは(うまくやれる)確率が上がることになります」。

そしてトヨタTS050の#7、#8、#9号車にはそれぞれ日本人ドライバーが乘る。#7は小林可夢偉、#8は中嶋一貴、そして#9は国本雄資だ。

「ドライバーの選定はパスカル(バセロン氏/トヨタのWEC首脳のひとり)の専権事項ですし、また僕(村田氏)は決して国粋主義者でもありませんが、トヨタは日本に本拠がある会社ですから、できればルマンで優勝する時には日本人ドライバーにも乗っていてもらいたい、という気持ちはあります」

今年、トヨタが宿願のルマン初優勝を遂げた場合、日本メーカーとしては1991年のマツダ以来2例目となり、必ず日本人ドライバーが優勝することになる。日本人ドライバーの優勝は関谷正徳、荒聖治についで3人目、日本車で日本人ドライバーが優勝するのは史上初のケースとなる。

村田氏らトヨタに関わる多くの人にとって、ついに満願の夢が結実するのか。今年の第85回ルマン24時間レースは6月17日の日本時間22時に決勝スタート、翌18日の同22時にチェッカーを迎える。

《遠藤俊幸》

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