なぜ韓国にBMWの“ドラトレ”拠点があるのか、意外なメリットとは

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韓国のBMWドライビングセンターで開催された「M Experience 2017」。空港からのアクセスが良く、日本からも気楽に参加できそうだ
韓国のBMWドライビングセンターで開催された「M Experience 2017」。空港からのアクセスが良く、日本からも気楽に参加できそうだ 全 28 枚 拡大写真

思い起こせば1980年代後半に受けたBMWドライバートレーニング、通称“ドラトレ”で習った技術は、公道はもちろん、サーキットでもいまだに有効な操縦方法として活きている。

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「ラウノ・アルトーネン」。1960年代モンテカルロラリーで「ミニクーパーS」による活躍はミニ好きの日本人には良く知られた存在だが、のちに日産車でも活躍したラリー界のレジェンドが当時、インストラクターのひとりとして来日。

氏から直々の講習は、スピン状態を自ら造り、そこからカウンターステアによる修正とアクセルコントロールによるドリフトコントロールやバックスピンターンなど、危険回避のための技能を授かった。

現在そうした指南役はBMWの厳しい基準をクリアした選任インストラクターが担う。BMWでレース活動が本業の現役バリバリのワークスドライバーも参加してドライビングに有効かつ適確なアドバイスをくれる。

通称ドラトレは、現在“BMWドライビング・エクスペリエンス”と呼ばれる。通常走行では必要ないと思われても、知っているか、いないかでは、緊急時、とっさの判断、操作に大きな違いを及ぼす。つまり事故に遭うか、回避できるかの極めて重大な分かれ目を自力で切り抜ける事ができるわけだ。

こうした講習は日本でももちろん行われているが、常設のドライビングセンターとして開設されているのは、BMW 本拠地のドイツ・ミュンヘン、アメリカ・スパータンバーグ(サウスカロライナ)とサーマル(カリフォルニア)、そしてアジアでは韓国。インチョン国際空港からわずか15分の立地に2014年に設立されたBMWドライビングセンターがある。

1周2.6km、直線は200km/hまで出せるサーキットは、ハンドリングコースとして使われる。それがすっぽり入る広大な敷地は、間もなく敷地をさらに広げて改修予定。直線は260km/hが可能になるほど距離を延ばすと言うハンドリングコースがメインになる。さらにジムカーナ他自由にコース設定が可能なフラット舗装のマルチプレイコース。散水設備を持つ滑り易いダイナミックコースに360度の円が描けるサークルコースは、ドリフトコントロールの習得に最適な設定。高速レーンチェンジや緊急回避、旋回ブレーキ等々、走行中のクルマに起こりうる不安定な要素を与えて、それをドライビングでカバーする。それが安全な広さと適確なアドバイスの元に実体験できる。

広さを実感するのは、それぞれのコースが同時に開催可能な事で、多くの受講人数をまかなえる。…もちろん日本のドライビング・エクスペリエンスでも講習内容は同様だが、一年中使用可能なドライビングセンターは存在しない。

施設内は講習、他のイベントホール、新型モデルの展示、純正用品の販売から、レストラン&バーも完備した充実の施設。

今回は“BMW Mエクスペリエンス2017”。言うまでもなくBMW最強のMモデルだけによるドライビング・エクスペリエンスで、『M2クーペ』、『M5クーペ』、『M6』、『X5M』、『X6M』がずらり。そこに日本から招かれたジャーナリストは全員BMWドラトレ経験者であり、新車開発の聖地とされるドイツ・ニュルブルクリンクを走り込んでいる武闘派である。その事がイントラに伝わっていたようで、ハンドリングコースでM2クーペから始まった走行ペースは最初から異様に速い!! それに追走する我々も大したものだと自画自賛だが、追われたインストラクターはさらにペースアップ。完全にレーシングモードのチェイスに思わず笑うが、もちろん相手を見ての話し。通常は参加者の技量を見ながらペース配分を行う。

講習は先に記したコースで行われる。午前から始まりランチを挟んで午後いっぱい。それこそ“お腹いっぱい”になるまで、安全のためのドライビングスキル向上のための指導を受ける。

ファッション担当のある編集者の走りを眺めていると、走り始めた当初より明らかにスムーズ且つ速いドライビングを身につけていた。

「駆け抜ける喜びを実感したに違いない」!!

アジア初のBMWドライビングセンターが韓国に造られた事に疑問符もあるが、やはり国際空港近郊という立地は日本国内で行うよりも利便性に優れている事は確かである。マト外れだがさらに言うと、インチョン国際空港近郊は間もなく娯楽の殿堂、韓国版ラスベガスが完成する。すでにそれらしき派手なビルが建ち並び、その周囲をモノレールが走行している!! 

そんな羨ましい環境下、日本から朝便で飛び、ドライビング・エクスペリエンスを受けて帰る日帰りも可能。クルマで40分、ソウルでディナーを楽しみ翌日帰国。と、どう考えてもスマートでお手軽感である。

それでは…と思う方はBMWドライビングセンター・コリアまで。そういう日本のドライビング・エクスペリエンスも今年復活した。まずは体験、というムキは日本のドライビング・エクスペリエンスからどうぞ。

桂伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー1982年より自動車雑誌編集部にてレポーター活動を開始。幼少期から憧れだったレース活動を編集部時代に開始、「走れて」「書ける」はもちろんのこと、 読者目線で見た誰にでも判りやすいレポートを心掛けている。レーサーとしての活動は自動車開発の聖地、ニュルブルクリンク24時間レースにアストンマー ティン・ワークスから参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。11年クラス5位、13年は世界初の水素/ガソリンハイブリッドでクラス優勝。15年は、限定100台のGT12で出場するも初のリタイア。と、年一レーサー業も続行中。

《桂伸一》

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