国産ワインフリークも注目する「ココファーム」とは【ドライブコース探訪】

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ココファーム&ワイナリーのロゴ入りグラス。1人ドライブだとワインを飲むわけにはいかない。
ココファーム&ワイナリーのロゴ入りグラス。1人ドライブだとワインを飲むわけにはいかない。 全 13 枚 拡大写真

北関東を取材がてらツーリングしたさい、栃木・足利市はずれの山麓にある農園・ワイン醸造所「COCO FARM & WINERY」に立ち寄ってみた。

ココファームは、知的障害者の自立を支援する社会福祉法人「こころみ学園」が運営するワイナリー。その歴史は古く、ぶどう畑がここにできたのは59年前の1958年。

「川田昇という特殊学級(現在の支援学級)の先生(故人)が『この子たちは学校にいる間はいいが、卒業後は生きていく場所がない。そういう場を作るのも自分の使命』と考えて、ここを開墾したのが始まりです。その後、作物のぶどうを使ってワイン作りをしようとしましたが、福祉法人ではワイン醸造業の許可が下りない。それで、有志の出資で1984年にココファーム&ワイナリーが設立されたんです」

スタッフのひとりは沿革をこう解説する。

日本でワイン作りといえばまず山梨の勝沼が思い浮かぶが、国産ワインフリークのあいだでは、ココファームのワインの風味の良さはかなり高く評価されているらしい。ワインショップを見回してみると、2008年の北海道洞爺湖サミットにおける総理夫人主催夕食会のワインに選定されたという「2006 風のルージュ」をはじめ、高質なものからリーズナブルなものまで、さまざまなワインが売られていた。500円で5種類のワインを試飲できるプログラムもあるが、この日は筆者一人でのツーリングゆえ試せなかった。残念!

そのワインショップの奥は、ココファームで栽培された野菜を主体に、栃木の食材を使った料理を提供するカフェがあった。そこで筆者がオーダーしたのはカレーランチ。野菜をたっぷりと溶け込ませたカレーと新鮮野菜、酢漬け野菜、しっかりした風味のパンの組み合わせ。カレーは独自レシピで、カルダモンなどを効かせたようなエキセントリックさはないが、ベーシックな香辛料がじっくりと味を出すタイプで美味しかった。野菜やパンの風味も豊か。ただし量は少なめで、女性やダイエット志向の人向けといった感もあった。足りない場合はもちろん単品を追加しておなかを満たすことも可能だ。

天気が良い日は、オープンエアのテラスで食事をすることもできる。訪問当日は晴天であったため、そのテラスで食べてみたのだが、まだ葉が出揃っていないぶどう畑に菜の花が咲き、それをヤギが食べるという牧歌的な風景を眺めながらの食事はなかなか楽しい。ヤギは一見、のそのそとした動きのようだが、継続的に見ていると菜の花を食べるペースは思ったより早い。まさにもりもりと食べるという感じだ。除草にヤギを活用する有機農法があるが、そういう方法が成立しているのもむべなるかなと思った。

ココファーム&ワイナリーは北関東自動車道足利インターから10分ほど。一般道の場合は国道50号線、国道122号線などでアプローチするのが便利だ。ちなみに通常のレストランとは逆にラストオーダーが17時30分までという昼間営業なので、夜に訪れてがっかりされることなきよう。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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