【第101回インディ500】佐藤琢磨、優勝の実感が湧かない---スペシャルすぎる?

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チーム・オーナーのマイケル・アンドレッティ夫妻と優勝パレードする琢磨。(インディ500)
チーム・オーナーのマイケル・アンドレッティ夫妻と優勝パレードする琢磨。(インディ500) 全 3 枚 拡大写真

「もう信じられないですね。いや、うれしいです。でも本当に勝ったのか何か現実ではないみたいで。今もあんなに天気が良かったのに嵐になっているし、35万人の観客も1人もいなくなっているし(笑)」

インディ500=インディアナポリス500マイルレースに優勝した佐藤琢磨がコメントした。

「35万人の中で走るということだけでもスペシャルで、この5月に入ってから、チームメイトとともにクルマを作り上げてきた結果が、こういう形で、最高の形でレースを送ることができたので本当に幸せです」

まずスタートはいい感じだったという。「セカンドロウ(2列目)からのスタートだったので、無理する必要はないですし、TK(トニー・カナーン)がすごい勢いできたのがちょっとびっくりしましたが、でも基本的に5~6番手につけたいなというイメージでした。多少ポジションは落としましたが、まずはクルマを感じながら、その後のスティントをどう走っていこうかという意味では、そこそこにいいスタートだったと思います」。

3スティントめでは順位を落としてしまうが、挽回する。「(3スティントめ)ピットストップでちょっとてこずってしまって、コースにリスタートしてからの勢いを失ったんですね。モメンタムを失って1台抜かれて、その後、2台、3台、4台と一気に抜かれて。一気に下まで落ちたのですが、落ち着いて1台1台また抜いていって、最終的にはP6(6位)まで復活できたところがすごくよかったと思います」。

「17位くらいまで落ちましたか。でも、スティントがいくつか違うシークェンスの人も入っていたと思うので、それらを除いたら……。それでも10台くらい抜かなきゃいけなかったですね」

「スタート直後はリードするシーンもあって、クリーンな空気の中、前方で走るのはすごく楽でした。その代わり、後ろからチームメイトが来ていたので、練習のようにグループランで行こうかなと思ったのですが、なかなか上手くいかなくて、一気にポジションを落としちゃいました。その後、落ち着いて順位を戻せたのはすごくよかったですね」と、振り返る。

ホンダ勢でもセッティングは、佐藤とライアン・ハンターレイが似ているセッティングで、アレクサンダー・ロッシとフェルナンド・アロンソはかなり軽めのダウンフォースだったそうだ。

「アレックスやフェルナンドが先頭に出たときは、彼らが速いのが分かっていました。2~3台のトラフィックのときは、正直言って彼らの方がちょっと速かったですね。ただ、ライアンがリードし始めたときには、僕は後ろに下がっちゃたんですけど、自分のクルマも同じようなパフォーマンス出せると思っていました」

トラフィックに入ってから驚いたという。トラフィックのタービュランスがすごかったのだ。「6速ギアも回り切って、追いかけるだけで精一杯。とくにリスタートの直後はみんながニュータイヤで、ニュータイヤ状態だとかなり踏んできますから、正直その中ではほとんど順位を上げられなかったし、自分が速いとは思わなかったです」と打ち明ける。

「ただ、10ラップ、20ラップしてくるとタイヤのデグラデーション(摩耗)が始まって、ここをギャレットと一緒に注意してクルマを作っていたのです。ですから非常にクルマが安定していて、デグラデーションというか性能劣化は一番少ないクルマの1つだったと思います。15ラップ過ぎからどんどん順位を上げることができて、そこが今日の強さだったと思いますね」

佐藤の勝利のポイントはどこにあったか。佐藤自身は攻めるところと引くところとを意識していた。「クラッシュの話になってしまいますが、中段グループにいるとああいうアクシデントも起きてしまう。そこら辺は自分も、攻めるところと引くところと、今日はかなり意識してやったつもりですけど、最後の10周ですね、リスタートしてから。あそこは本当に行かなきゃいけないところで、エリオと3ワイドでターン1を取ったとき、あのオーバーテイクが今日の勝ちにつながった」と解説する。

「あそこでクッションを置いて、エリオが僕のところに来るまで数周かかっていて、そこはすごく助かった。ラスト3ラップで彼らに追いつかれて、またサイドバイサイドになりましたけど、ターン1について今年は自分もイメージをずっと持っていたので、きっちりと正しい方向でできました」

「ファンの皆さんに感謝してもしきれないですね。僕がレースを始めたときからずっと応援していただいて。スポンサーにも感謝です。ホンダのスカラシップのプログラムを取ってここまで来ましたから。長い道のりでしたけど、インディ500を勝ったことは本当にうれしかったです」

「日本もまだまだ復興途中ですごく大変な状況なので、僕自身も“With JAPAN”のプログラムをもっともっと強くして、子供達に夢を与えたいと思っている。自分自身も、今日勝ったことで、さらに上に上がりたい気持ちが強くなっているので、まだまだ続けていきたいと思っています」

「どのレースにも優劣をつけることはできないと思います。たとえばロングビーチの優勝もとってもスペシャルだった。だけどインディ500を勝つというのは、本当に今までの自分のレース人生の中で最高の瞬間。この優勝は自分にとってだけではなく、日本にとってもそうだし、チームにとってもそうだし、ホンダにとっても本当にスペシャルな優勝だと思うので、まだ実感が湧かないのが正直なところです」

《重信直希》

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