【プジョー 3008 試乗】根強いSUV人気、“対抗馬”となるか…森口将之

試乗記 輸入車
プジョー 3008 GTライン
プジョー 3008 GTライン 全 16 枚 拡大写真

新型『3008』はまずインテリアに惹かれた。ドライバーを囲むようなインパネ、ピアノタイプのスイッチを旧型から継承しながら、シルバーの使い方、シートのステッチ、トリムに張られたファブリックなどで、クオリティを大幅に引き上げていたからだ。

【画像全16枚】

この中でインパネやドアトリムへのファブリックの起用は、過去にもいくつかのフランス車が実践してきた、この国のお家芸と呼べるもののひとつ。筆者のかつての愛車でもある「マトラ・ムレーナ」というスポーツカーにも採用していたほどだ。

シートのステッチにコッパーという個性的な色を取り入れたことを含めて、クオリティの高さとフランスらしさが絶妙に両立している。

メーターがフル液晶になったことも新型の特徴だ。最近のプジョーの例に漏れず、小径ステアリングの上から見る形になるが、SUVということで着座位置が高めであるためか、他の車種ほどの違和感は抱かない。

しかも液晶メーターは3つのモードが選択可能で、かつてのシトロエンが用いていたボビンメーター風の表示もできる。このセンスも他国のクルマではなかなかお目にかかれないものだ。

走りの面ではまず、予防安全装備がドイツや日本のライバル並みに充実したことが挙げられる。衝突被害軽減ブレーキ、前車追従クルーズコントロール、車線逸脱警告システムなどが標準装備となった。これによって選択肢の1台に新型3008を加える人が多くなるだろう。

当初導入されたのは、いずれも1.6リットルガソリンターボエンジンと6速トルコンATの組み合わせで、ここだけ見れば旧型と基本的に同じであるが、新世代プラットフォームの採用で車両重量は軽くなっているから、加速性能に不満を覚えるはずはない。

しかも走りにもフレンチタッチがしっかり受け継がれている。試乗したのは「GTライン」のデビューパッケージで、ホイールは18インチとかなり大径でタイヤ幅も広かったが、そうとは思えないほどしなやかな乗り心地を届けてくれた。ネコ足というフレーズがすぐに思い浮かぶフィーリングだ。

ハンドリングも素直で、背の高さを感じさせない。このあと2リットルディーゼルターボのGTも日本に導入される予定で、昨年ヨーロッパで両車を乗り比べた際には、たしかに力強さはディーゼルが上だったが、ハンドリングの素直さではガソリン車に軍配が上がった。この面を重視する人は現状のラインナップから選んで問題ないだろう。
プジョー 3008 GTライン デビューエディション
驚いたのはオフロードの走りっぷりだ。旧型に続き、前輪駆動ながらオフロードモード切り替えスイッチを備えるが、これが4WD並みの走破性を実現している。特にエキスパートのデモ走行では、4WDが必須と思われるほどハードなステージを、あっさり走破してしまった。プジョーならではのしなやかな接地感がこうした路面で有利に働くことも分かった。

質感や安全性で最新トレンドに並びつつ、プジョーらしいデザインや走りもしっかり引き上げている。それでいて価格はプジョーのレベルにある。実はこの原稿はフランスで書いており、現地ではすでにかなりの台数を見かける。日本でも最近相次いで登場した国産SUVや、根強い支持を集めるプレミアムブランドのSUVの対抗馬として、新型3008を考える人が多くなりそうだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得 意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

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