【スズキマリン FAVAS 試乗】入門のみならず目的のはっきりしたボート選びでも

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スズキマリンFAVASに試乗
スズキマリンFAVASに試乗 全 12 枚 拡大写真

最初に良かれと思ったことがそれほど重要ではなかった、ということが、実際に初めて見て初めてわかるということはよくある。マリンレジャーでもそういうことは少なくないようだ。

横浜市の杉田にある平野ボートヨコハママリーナ。先ごろ開催された夏フェスでは陸置き展示と試乗艇の両方が用意され、かなり力を入れて紹介されていたスズキマリンの小型フィッシングボート『FAVAS』(フェイバス)。それには明確な理由があった。

「実はセンターコンソールタイプの小型フィッシングボートの選択肢が少ないのです。しかも、コンパクトながら性能でも幅広いエンジンラインナップが用意される。この事実が多くのマリンレジャーファンに響いているのかもしれません」と話すのはスズキマリンの担当者。

海釣りで、ないよりは便利だが、なかったからと言ってそれほど大きな死活問題ではない、というのが開閉式扉のついてるキャビンかもしれない。実際に釣る際は外に出るわけだし。しっかりとしたキャビンを設置するとデッキが狭くなる。しかし釣りのタイミングを逃したくないとなれば、デッキがフラットで広いということに共感を覚える人は少なくないだろう。

またキャビンを設けたと言っても、クルージング用のボートほどの快適性はどうしても難しい。であればいっそのこと、シンプルなコンソールをセンターに設け、「船に滞在する」という可能性を考慮せずに、フィッシングボート用途に徹した設計をしたのがFAVASだ。

平野ボートヨコハママリーナから港内を試乗すると、滑らかな加減速は操船する楽しみさえも味わわせてくれる上に、小気味よい。

軽自動車をはじめ自動車も製造するスズキだが、現在のマリンエンジンは完全にマリンエンジン用に最初から設計した専用エンジンなのだという。専用設計であるが故のしっくりとしたフィーリングもさることながら、しっかりと用途ごとに対応するスズキの姿勢に“らしさ”を感じ、ビギナーにとっても共感しやすいエンジンだと感じた。

小さいながら波切れも良い船体は、漁船も作るヤンマーが手掛けたというだけあって、奇をてらわない質実剛健な魅力を感じさせる。V型船型と船底に入れたウレタンで乗り心地も良く、サイズを感じさせない。日本での実情を考えるとメンテナンス性などにも優れる船外機タイプのフィッシングボート用の船体ながら、燃料タンクを船体中央のコンソールの下付近に設けることで、全体の重量バランスがいいなど、細かい配慮も随所に見られる。

「実は、最初に中古艇や、マリーナで下したデモ艇などを買ってマリンレジャーに入門された方が、しばらく釣りなどを楽しまれて、実際に頻繁に海に出るようになると物足りなくなって買い替えるケースも比較的多いですね。そんなときより豪華で大きなものにという方も中にはいらっしゃいますが、逆に機能を割り切ってご自分の目的に合ったものに用途を絞って二艇め以降のボート選びをされるという方も実は少なくありません」と話すのは平野ボートのスタッフ。

「つまり割り切るのですね。その点、このスズキマリンのFAVASは価格も乗用車クラスの価格帯とリーズナブルで、割り切った機能と、優れたバランス、使い勝手の良さなどが相まって選ばれる方の多いモデルなんです」(同)。

スズキマリンの担当者は「スズキが軽自動車を手掛けているということもありますが、スズキマリンは、マリーナに出かけるのに高級車で、というような、マリンレジャーが限られた方のためだというイメージも払しょくしたいと考えています。それこそ、軽自動車でそのままふらっとボートに乗りに来てマリンレジャーを楽しむ。そのくらい気軽に楽しめるものとして感じて頂きたいものですね」と話す。

エンジンは大馬力が人気だ。「70馬力から115馬力のエンジンまで幅広い出力をご用意しておりますが、大多数のお客様が115馬力仕様をお買い求めになります。波が強くなった時に登る力が違いますし、いつでも穏やかな海域でもない限り、不要に高回転を使わなくなるので燃料代も結果的にはそんなに変わらなかったりもするのです」という。

普通はオプション扱いになる装備も多数が標準設定でついているFAVAS、さらにさまざまなオプションを選べるなど、幅広いユーザーのニーズに対応する。入門者に乗りやすく楽しめる性能を有しながら、実際にボートライフをスタートさせてある程度自分で乗るようになった人が、首を大きく縦に振りながら納得できる、割り切りとこだわりのバランスを兼ね備えている点が、FAVASの人気の理由だ。

《中込健太郎》

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