【ボルボ V90 Rデザイン 試乗】SラインやMスポーツを凌駕できるか…中村孝仁

試乗記 輸入車
ボルボ V90 Rデザイン
ボルボ V90 Rデザイン 全 24 枚 拡大写真

近年のボルボでは稀に見るグッドルッキングだと個人的に思うボルボ『V90』。そのV90をよりスポーティーな出で立ちに設え、さらにグッドルッキングにしたのが「Rデザイン」である。

ボルボのRデザインと称するラインナップ。今更説明するまでもないだろうが、基本的にエンジン性能は既存ラインナップと同様で、出力ゲインなどはなく、トランスミッションなども共有だから、要は見た目とサスペンションに他とは異なるスポーツサスペンションを使用していることによる運動性能の向上がこのクルマの特徴。アウディで言えば「Sライン」、BMWで言えば「Mスポーツ」のような存在といえばわかり易いかもしれない。いわゆるハイエンドのマーケットでは本格的高性能と、それに近いデザインを持ったスポーティー版のラインナップが常識のようで、ボルボもすべてのラインナップではないが、Rデザインの上には「ポールスター」が用意されている。

一目でそれと分かるように、グリルは標準車の縦バーグリルから、黒一色でどちらかといえば横基調のデザインとされ、これは「クロスカントリー」ともまた異なるデザインで、ラインナップは三者三様のグリルを持っているのだ。また、アンダーグリルのデザインも標準車とは異なり、勿論クロスカントリーとも違うからこちらも三者三様。一方でリアエンドには大きな違いはなく、少なくとも標準車とRデザインは基本的に同じエレメントで構成される。

ホイールはもっともスポーティーなデザインが採用されているが、サイズは標準車と同じ20インチである。そもそも標準車の20インチは個人的にオーバーサイズだと思っていて、敢えて乗り心地の差別化を図る上でも、ワンサイズもしくは2サイズ落とした方が良いのではないかと感じていた。

では肝心の乗り心地は同じサイズのタイヤ/ホイールを履くのだから、そう変わらないのかといえば、これが大きく異なる。高速上でのフラット感こそ高いものの、市街地走行においてはショックをショックとして明確に伝え、さすがに大入力に対してはドスッと如何にもバネ下重量の重さを感じさせる動きが伝わってくる。車高が低いのか?否、これは標準車と同じでスポーツサスペンションと言ってもローダウンされているわけではないから、スプリングとダンパーが締めあげられているということだ。因みにV90にはオプションでエアサスが用意されるが、Rデザインにはその設定はない。

結果として運動性能という面ではだいぶダイレクト感があって、そうしたステアフィールとクルマの動きを好む人にはお勧め。ただし、快適性という点は犠牲になる。

インテリアではスポーツシートに加え、スポーティーさの演出でホンモノのカーボンファイバーパネル加飾が奢られ、ペダルはアルミ製とされている。それほど特殊な体形をしているとは個人的には思っていないのだが、このRデザイン専用シートはどうも体に合わず、おおよそ400kmのロングドライブを敢行した帰り際は、かなり腰の痛みを感じてしまった。ただ、今回の試乗で同乗してもらった他の2名の意見も僕と同様であったので、少なからずこのシートが合わないと感じるユーザーがいるかもしれない。ボルボの名誉のために付け加えると、標準モデル及びクロスカントリーのシートは全くそんな印象はなく、ロングドライブでも一切の体の痛みは感じられなかった。

前述したようにドライブトレーンには差がない。即ちV90インスクリプションと同じで2リットル、ツインチャージャーの320ps、400Nmの性能を持つ4気筒エンジンが搭載され、オンデマンドのAWDシステムを持っている。AWDに成してはそれを体感でき料な状況は一切なかったが、過去ボルボのオンデマンドAWDを体験した経験から言えば、その介入はドライバーが一切関知できないスムーズさで、フリクションロスなども全く感じられない。

Rデザインはやはり少し男っぽいV90である。元来ファミリーユースは想定されるV90にあって、男性が趣味のアウトドアアクティビティーに行くような状況ではうってつけかもしれない。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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