【スバル インプレッサ 試乗】ネガ要素はあれども、総合評価で星5つ…中村孝仁

試乗記 国産車
スバル インプレッサ
スバル インプレッサ 全 10 枚 拡大写真

このところ、スバルの試乗会はナンバーを付ける前に、クローズドコースで開催されるのが、習わしになってしまった感がある。

【画像全10枚】

このため、一般公道で試乗するには借り出して乗る必要があるのだが、デビュー直後は中々混んでいて、じっくり乗ることが出来ない。そんなわけで『インプレッサ』の試乗もようやく今頃になって実現した。今回は1.6リットルの「インプレッサ・スポーツ」と2リットルの17インチを装着したインプレッサ・スポーツを借りてみた。走行した距離はどちらもおおよそ400kmである。

1.6リットルに乗るのは今回が初めて。装着タイヤは16インチで、さすがに足元はだいぶ貧弱に見える。それにエンジンは直噴ではなくポート噴射だし、パフォーマンスも115ps、148Nmと2リットル搭載車と車重でたったの20kgしか違わないので、やはりアンダーパワーは否定できない。今のところインプレッサにはターボエンジンは存在せず、どちらもNAだ。確かにパワーの高まり感はリニアでそれはそれで評価すべきだと思うが、最近のターボ車のラグ無しで力強い加速感に慣れてしまうと、どうしてもパフォーマンス的に貧弱な印象を受けてしまう。

装備面については文句なしだ。ACCやアイサイトが標準装備で、敢えてオプションで追加するとしたらナビゲーション程度。これでベース価格213万8400円は相当なお買い得だと思う。勿論最新鋭のACCも試してみた。と言ってもすでにさらなる進化版が出ているのだが、現状のインプレッサに装備されているものでも、恐らく日本車で過去に試乗したモデルの中では最高の出来。 とりわけ前走車に近づいた時のブレーキの掛け具合が非常にスムーズで、チキンレースをしている感が全くないので安心していられるのがうれしい。

さすがに16インチタイヤの乗り心地は文句なしに快適だが、実は17インチの2リットル車と比較した時は、どっしり感という点では17インチの方が上で、最良バランスは17インチ装着車なのではないかと思えた。

1.6リットルと2リットルを比較すると、パフォーマンス面では文句なく2リットルが上で、価格差以上の性能差があってやはりお薦めはちょっと無理しても2リットルということになる。正直どちらのエンジンも、本気で加速するためにはアクセルをベタに踏み込む必要があって、加速性能にはどちらも満足できない。2リットルでもNAだと最大トルクが196Nmでしかないから、例えばVW『ゴルフ TSIハイライン』の1.4リットルダウンサイジングターボと比較した場合、あちらのトルクは250Nmもあるうえ、あちらは1500rpmから最大トルクを発揮するのに対し、インプレッサは最大トルク発生回転が4000rpm。どちらが乗り易いかは明々白々で、やはりもう少し「加速がスムーズかつ速い」を求めるには力不足感が否めなかった。

それにターボ車の場合、低回転域から最大トルクを発揮してくれる関係で、例え数値的には低くても、実際のフィーリングとしてははるかにトルクフルに感じさせてくれるが、これも常用域で常に最大トルクを発揮しているテーブルトップ型のトルクカーブの成せる業だと思うので、スバルにもできればダウンサイジングターボ的なトルクカーブのエンジンを作って頂きたいと思うわけである。

17インチの2リットル車の場合、そのどっしりとした落ち着いた乗り心地やハンドリングなどは、このクラスのモデルとしては文句のつけようがないほど上質である。というわけでインプレッサのネガ要素は以下の2点に集約される。

ひとつはやはりリニアトロニックのスムーズでない走り。リニアトロニックは、本来CVTはスムーズな加速が身上だと思うのだが、特に1.6リットル車の場合、加速中に少しでもアクセルを緩めると、まるでベルトがたわんでいるような不思議な感触が伝わり、決してスムーズではなかったし、2リットル車の方もフル加速した場合はエンジン回転の上昇とスピードの上昇をリンクさせるためか、まるでステップATのような加速をするが、ではステップATとどちらがスムーズでダイナミックな加速をするかといえば、これは残念ながらステップATに軍配が上がる。折角の素晴らしいハンドリングとどっしりした乗り心地が、少しドライビングを愉しもうとした際にリニアトロニックによってスポイルされるのは残念だ。

もう一つは燃費だ。燃費は走行パターンが違ったので、明確に結論付けることはできないが、1.6リットル車は8割が一般道、2割が高速という走行パターンで残念ながらおよそ400kmの平均燃費で10km/リットル程度。一方の2リットル車は最良の条件下で信号の少ない一般道と高速が7割を占める状況でおおよそ14km/リットルというもの。どちらもレギュラー指定が救いだが、決して褒められる燃費ではない。

まあいくつかのネガ要素はあるものの、インプレッサの出来の良さ、安全性の高さ、装備の充実度と価格の相関関係を考えると、文句なく★5つである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度 :★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ タンドラ で走行160万km…顧客にサプライズプレゼント
  2. ピックアップトラックの荷台に、積載型キャンピングキャビン「INFINITY 01」発表…Moon Star Export
  3. スズキ、『ジムニー シエラ GOZEL』初公開へ…6月14日「ジムニーサンライト2026」
  4. 日産『プリメーラ』、EVで約20年ぶりに復活…フィリピンモーターショー2026
  5. 8月から車検が変わる…ヘッドライトの「黄ばみ」に注意! DIYよりプロに相談
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. ホンダ「2026ビジネスアップデート」…次世代HV15車種投入、2029年度営業利益1兆4000億円
  2. インモールドコーティングコンソーシアム設立、型内塗装の国内普及めざす…武蔵塗料と岐阜多田精機
  3. ダイフク、520億円の成長投資でマザー工場再開発とドイツ企業買収…2030年に売上高1兆円へ
  4. ボルボカーズ、2028年以降の車両にアプティブのGen 8レーダー採用へ…悪天候や複雑な市街地でも高精度センシング
  5. 中国勢にも対抗する競争力のあるSDV開発に必要なものとは…アステモサイプレモス 木村篤仁氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る