ホンダ、かろうじて営業増益…二輪車事業の好調とコストダウン 第1四半期決算

自動車 ビジネス 企業動向
ホンダの2017年度第1四半期決算会見の様子。左から倉石誠司副社長、竹内弘平専務、森澤治郎経理部長
ホンダの2017年度第1四半期決算会見の様子。左から倉石誠司副社長、竹内弘平専務、森澤治郎経理部長 全 1 枚 拡大写真

ホンダは8月1日、2017年度第1四半期決算についての決算会見を行った。その席上、倉石誠司副社長は決算の総括として「アジアにおける二輪車の好調は販売やコストダウン努力などにより、営業利益は2692億円と前年同期比0.9%の総益を確保できた」と述べた。

今第1四半期は文字通り、二輪事業の好調さが際だった決算と言っていいだろう。なにしろ販売台数が約470万台と前年同期に比べて34万7000台(8.0%)も増え、営業利益が788億円と152.7%増と大幅に増加しているからだ。営業利益率に至っては、15.5%という驚異的に数字をたたき出している。この大きな要因はインド、ベトナム、タイなどでスクーターの販売が大きく伸びたためだ。

一方、四輪事業はグループ販売台数が126万台と同5万4000台(4.5%)増えたものの、営業利益は1403億円と23.9%も前年同期に比べて減っている。その結果、営業利益率は7.3%から5.3%へと1ポイントも悪化してしまった。これは稼ぎ頭の米国市場が今期に入って前年割れが続いていることが大きく、「乗用車は大変厳しい状況になっている」(倉石副社長)とのことだ。当然、主力の『アコード』など乗用車が苦戦を強いられ、北米の営業利益が40.7%も減少してしまった。

そのため、今期に入ってから社内でのコストカットが強化されているという。例えば、出張手当が大幅に見直され、同僚などにお土産を買ってくるケースが非常に少なくなったそうだ。また、研究所や工場では派遣社員が増えているとのことだ。第1四半期の0.9%増益はそんな涙ぐましい努力の結果、達成できたと言えるかもしれない。

ただ、下期については、国内では新型『シビック』を約6年ぶりに復活させるほか、北米で新型『アコード』を発売する予定だ。両車種ともホンダの看板車種で、巻き返しが図れると踏んでいる。特にシビックは久々にホンダらしい車と国内のユーザーの間で評判になっており、すでに事前受注が6300台となっている。

業績を見る限り、ホンダが元気を取り戻すにはまだほど遠いが、車づくりについては徐々にホンダらしさを取り戻しつつある。さらにホンダらしさを追求するには、社内で進めているコストダウンもほどほどにして、ある程度の余裕を持った形で車づくりなどを進める必要がありそうだ。そうすれば、昔のような自由闊達なホンダの社風が復活し、元気を取り戻せるに違いない。

《山田清志》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「妄想が現実になった」トヨタがAE86のエンジン部品を発売へ…「復刻だけじゃない」その内容に驚きの声
  2. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  3. 衝突試験、1回の費用はおいくら? ホンダ栃木四輪開発センターで見学
  4. ヤマハの3輪スクーター『トリシティ』が進化! SNSでの注目は「デザイン」と「屋根が付くか」
  5. 復活の『テスタロッサ』にスパイダー、ハードトップは14秒で開閉可能…最高速330km/h
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る