関東圏のカーディテイリングショップが集い結成される「東京ディテイリング倶楽部」という団体をご存知だろうか? ここでは、クルマの美しさを提供するプロショップの店主らが、業界を盛り上げるため、手を取り合い日々研究を重ねている。“カーディテイリング”というものを、より多くの人に知ってもらうために尽力する人達。今日はそんな取り組みの一端をご紹介したい。
休憩中も技術の向上を求めて
8月1日。『真夏のディテイリング研究会』と題した勉強会が、東京都江戸川区にあるアクティブガレージを会場に行われた。
ランボルギーニやベンツなど超高級車が並ぶ店舗の一角で繰り広げられる議論。倶楽部会員と、スポットで参加したショップオーナーの12社14名による情報交換は、じめじめした暑さを凌駕するほどの“熱”を帯びていた。この日は、参加者各自が持ち寄ったポリッシャーやコンパウンド(研磨剤)、その他の機材について、実技を通じて検証することに主眼が置かれた。
実演用に用意された黒のレクサスLS460の周りに集まる参加者の顔は、写真を見ても分かるように真剣そのもの。それぞれの研磨技術や器具の性能などに関して、質疑応答が飛び交う時間となった。休憩時間中も、この日披露されたワザを体得するために黙々とクルマを磨く参加者や、技術や理論についての話をするメンバー達。研究会は丸一日かけて行われたのだが、誰もが息切れすることなく、“ディテイリング談義”を交わし続けていた。
クルマのコンシェルジュを目指して
『業界の発展と、最高のカーディテイリング技術でお客様を満足させることの両立』
これを目指した有志によって4年ほど前に結成された倶楽部では、定期的な勉強会などを通じ、ハイレベルな技術の追求が行われている。今回のように参加者同士が交流するのみならず、メーカーの担当者を招待し製品の情報などが提供されたり、時には畑違いの業界から講師を招き指導を仰ぐことも。すべては、店舗を訪れるユーザーにより良いメニューを届けることや、“ディテイリング”というものを世間に広めるための取り組みだ。
アクティブガレージの阿部代表は「得意・不得意分野はそれぞれあるかもしれないが、普段(お店で)行っていない分野の技術も覚えて帰って欲しい。個人的には、私たちはクルマの“コンシェルジュ”であるべきだと思う。お客様の要望に一つでも多く応えられるよう、このネットワークを駆使して欲しい」とその思いを語る。
この日の勉強会では、ラッピングとプロテクションフィルムの実演講習も行われたのだが、普段これらの施工を行わない参加者も「これはどれくらいで施工できるの?」、「どこに貼るのが一番難しいの?」など次々と質問を投げかけ、自らの糧にしようとしていた。その光景からは、専門外のメニューだからといって「知らなくてもいい」という思いは微塵も感じられない。貪欲ともいえる姿勢で、誰もがクルマと向き合っている。
国内のみならず海外からの参加者も
著者も何度か、倶楽部の勉強会を取材させてもらっているのだが、毎度驚かされることの一つが会員以外の参加者の多さだ。
関西や九州から顔を出すショップ店主もいて、どの参加者も、その濃密なプログラムを経験した後、充実した表情で会場を後にする。1日に行われた研究会では、国内のみならず上海のショップからも2名が参加した。冒頭で述べたように、メンバーは基本的には“関東圏のプロショップ”で構成されているのだが、以前、九州から勉強会に参加していたショップ店主が「九州ディテイリング倶楽部も結成してくださいよ」と言っていたのは印象的だった。一つのショップでできることが限られているという思いは、共通意識としてあるのかもしれない。
「自分のお店だけが良くなるという考えでは、決して業界は盛り上がらない。みんなが良くなるという道を模索したい」
阿部代表は、日頃よくそんな言葉を口にする。そのために、技術や知識を出し惜しむことなく教えることもいとわない。それは他の参加者も同じだ。このようにして、技術や知識が綿々と繋がり、そして広がっていくのだ。
ショップに預けると“当たり前”のようにキレイになって帰ってくる愛車の裏側には、こんな取り組みや熱い想いがある。ユーザーに、より良いカーライフを提供するため、これからも男達の研鑽(けんさん)の日々は続く。
◇…8月1日の研究会参加ショップ…◇
アクティブガレージ(東京都江戸川区)
カーポリッシュオーソリティー(東京都板橋区)
マキシム(東京都江戸川区)
エース(東京都町田市)
ワローズ(埼玉県さいたま市)
JDM(埼玉県さいたま市)
リアルテックサービス(埼玉県三郷市)
フィット(埼玉県)
ホットカンパニー(山梨県中巨摩群)
カーメイクドンキー(愛知県名古屋市)
K-TEX(高知県北川添)
明車堂(中国・上海)