マツダ 小飼社長「DNAを持った商品を作り続けるには資本提携が必要だった」

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資本提携で握手するトヨタ自動車の豊田章男社長(左)とマツダの小飼雅道社長
資本提携で握手するトヨタ自動車の豊田章男社長(左)とマツダの小飼雅道社長 全 1 枚 拡大写真

トヨタ自動車とマツダは8月4日、東京・日本橋蛎殻町のロイヤルパークホテルで互いに約500億円を出資し、資本提携すると発表した。両社は共同で米国に新工場を建設するほか、電気自動車も共同で開発することも明らかにした。

マツダの小飼雅道社長は「よりよい車をつくろうとするトヨタの凄みを感じた。マツダブランドのDNAを持つ車を作り続けるには、資本提携して中長期的、継続的な提携に持って行くことが必要だと判断した」と今回の狙いについて説明した。

両社は15年5月、環境、安全技術分野を柱とした包括提携を発表したが、その時、小飼社長は「資本提携は考えていない」と話していた。しかし、自動車業界を取り巻く環境はそれを許さなかった。

これまで何度も経営危機に直面したマツダは、資金力も乏しく、電動化などの新技術の開発よりも従来型エンジンの性能を高めることに力を入れてきた。その結果、生まれたのがスカイアクティブ技術で、それを搭載して“走る歓び”を訴えかけることで生き残りを図ってきた。その戦略はある程度の成果を上げて業績も上向き、円高になっても赤字に陥らなくなった。

しかし、ここへ来て一気にマツダが力を入れているガソリン・ディーゼルエンジンに逆風が吹き始めた。英国とフランスは7月に2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を発表。また、スウェーデンのボルボは19年以降に発売する全車種を電気自動車に切り替えることを打ち出した。

また、自動運転や通信でつながるコネクティッドカーなど新しい技術が次々に登場し、車が大きく変わろうとしている。しかも、競争相手がこれまでのような自動車メーカーとの競争だけでなく、グーグルやアップル、アマゾンと言ったIT企業と競争する必要が出てきた。

「現在は創生期、発展期を迎える技術だと思う。今後の変動に柔軟に対応できる体制をこの協業によってしっかり準備したい」と小飼社長は強調。一方のトヨタ自動車の豊田章男社長は「マツダの革新的な構想、開発ノウハウ、トヨタの知見を持ちながら、混成チームを結成して開発していく。軽自動車から乗用車、SUV、小型トラックまで幅広い車を視野に技術開発を進めていきたい」と話す。

研究開発費がトヨタの約13%しかないマツダにとって、今回の資本提携の意義は大きい。相互に約500億円を出資し合うが、今回の資本提携はトヨタによるマツダへの“生活保護”と言えるかもしれない。

気になるのは業務資本提携に関する合意文書の最後に書かれていた一文だ。「両社の業務提携関係の進捗に応じて、本提携に基づきさらなる資本提携関係の強化についても検討してまいります」---。2020年にマツダは創業100周年を迎えるが、次の100年、マツダは大きく変わる可能性が出てきた。

《山田清志》

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