【スバル WRX STI 試乗】ただの4ドアスポーツじゃない「全方位4ドアスポーツ」だ…中村孝仁

試乗記 国産車
スバル WRX STI
スバル WRX STI 全 12 枚 拡大写真

ちょっと気の利いたキャッチをつけようとあれこれ考えてみたものの、全く良いのが浮かばず、ベタに4ドアスポーツとしたが、これ、本当に下手なスポーツカーなら楽々カモれる実力を備えた4ドアセダンである。

【画像全12枚】

その昔、最高出力は自主規制のもとに280psに抑えられていたが、その当時上限いっぱいまで高めていたのが、WRXの前身とも言える『インプレッサWRX』だった。当時は三菱『ランサー・エボリューション』との覇権争いが激しく、ともにラリーフィールドでその名を轟かせたモデルだった。

そして今、WRXは当時のラリーバーション剥き出しのいかにも速そう…から、どこにでもいる普通のセダンへと変身し、しかも最高出力は当時を凌ぐ308ps。そんな高出力を平気で路上で使えるところが凄いのだが、その実力は現実的には使えない。要するに速すぎるから。白バイやパトカーに捕まるのを覚悟の上ならそれも出来ようが、ここで敢えて交通違反をせよとは毛頭言えないし、あくまでも能有る鷹が爪を隠した状態で乗って欲しいわけだ。

その代わりと言ってはなんだが、実力の一端をクローズドコースで試してきた。見た目にはどこが違うの?という程度にしか変わっていないが、19インチホイールに強化されたブレンボ、それに従来は機械式と電子制御を併用していた4WDのトルクスプリットを、完全電子制御とするなど、細かい改良の積み重ねでクルマ本来のポテンシャルを引き上げたのが今回のモデル。こう言う改良が施されるようになると、日本の自動車も成熟してきたなぁ…と実感させられる。

コースは普段自転車のロードバイクが走るサイクルスポーツセンター。自転車用といっても、元々はモータースポーツ用サーキットとして計画されたというだけあって、1周5kmのコースは高低差も100mとかなりのアップダウンがある本格的なコース。ホントはタイヤのスキール音を出してはいけないのだが、出ちゃいますよ、ちょっとその気になると…。

というわけで出来るだけタイヤを鳴かさず、でも出来るだけ攻めて走ってみた結果の報告である。

コース内には同時に『レヴォーグ』や『S4』、さらには旧型WRXなども走る。1度にコース内に入るのは全部で6台。先にレヴォーグに乗り、WRXに乗り換えての感想は、やっぱり攻めのドライビングにCVTはダメだ…ということで、マニュアルのWRXは運転そのものが痛快だし、ドライバーの手でコントロールしている感が非常に強い。
スバル WRX STI 改良新型
例えばコーナーへのアクセスでは、ブレーキングとシフトダウンを同時に敢行し、エイペックスに向けてノーズを切り込んでいくという一連の動作が、すべてきちんきちんとしていて、決まっている印象。本来比べるべきではないけれど、これがリニアトロニックのレヴォーグだと、ダラ~っと入ってデレ~っと出ていく印象になってしまう。決してレヴォーグが悪いのではなくて、正直WRXが良過ぎると解釈して欲しい。フルで加速した際このコースで到達出来るトップスピードにもだいぶ違いがあった。

昔のクルマだとここまで性能を高めていると、非常にピーキーで普段使いは少々気を使うのだが、現代版ではそんなことは一切お構いなし。トルクバンドがやたらと広いから、ちんたら走ろうが、攻めて走ろうが、どんな走りにもクルマの方でアジャストしてくれる。だから、デイリーユース全くOK。有ろうことか、快適さまで併せ持って、足の硬さも全く気にならない。単なる4ドアスポーツではなくて、全方位4ドアスポーツなのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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