水上バイクは意外と手軽? バイクジャーナリストが免許取得に挑戦「雄叫び上げたくなる」

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バイクジャーナリスト青木タカオが水上バイク免許取得に挑戦。実技講習中は「雄叫び上げたくなる」ほど楽しかったと青木氏
バイクジャーナリスト青木タカオが水上バイク免許取得に挑戦。実技講習中は「雄叫び上げたくなる」ほど楽しかったと青木氏 全 40 枚 拡大写真

「水上バイクに乗ってみたい!」。バイクジャーナリストの自分がひょんなことから思い立ち、免許を取得した。結論から先に言おう、努力は少しだけ必要だが、決して難しくはない。

うだるような暑さが続いた7月のとある日。涼を求めて海辺へ行ってみると、水上バイクが気持ち良さそうに海の上を疾走しているのを見た。けっこうなスピードで水しぶきを豪快にたて、身体を使って気持ち良さそうにコーナリングしている。

「自分にも運転できそうだし、なにより楽しそうだ!!」。そう思い調べてみると、まず「特殊小型船舶免許」が必要で、これがあれば湖や川、そして海では陸岸より2海里以内を航行区域できる。

後ほどみっちり勉強することになるのだが、1海里=1852m。つまり約3.7kmも陸から離れていいことになるのだから、これはなかなか立派な資格。そう、れっきとした国家試験に合格してはじめて免許を手にすることができるのだ。

ちなみにボートの免許区分は、ほかに「1級船舶」「2級船舶」「2級湖川・小出力限定」とあり、それらを持っていても水上バイクに乗るには、特殊小型船舶免許がなければならない。

意外と身近だった水上バイク免許
教習艇となる水上バイクの説明を受ける
ネット検索すると、全国に免許教室があることがわかった。筆者は東京在住で、マリンスポーツが盛んにおこなわれている房総や湘南方面へ足を運ぶのかと思っていたが、都内あるいはすぐ近郊で免許が取れるではないか。

今回選んだのは「ヤマハボート教室」。横浜市鶴見区にある「KMC横浜マリーナ」にて2日間で免許が取れ、費用は6万1000円(特殊小型レギュラーコースの場合)。費用や期間は場所、教室によってさまざまなので、好みで選ぶと良いだろう。ホームページから案内に従って申込み手続きをし、受講日と試験日を予約。ついに免許取得への第一歩を踏み出した。

免許取得のためには学科と実技、両方の試験で合格しなければならない。クルマやバイクの試験と同じだ。

1日目に講習、2日目が試験という日程で、講習は学科と実技それぞれで半日ずつ費やす。今回の受講生は8人ほどで、学科と実技それぞれ4名ずつ分かれて1日目がスタートした。

基本はロープの結び方から
船舶免許の基本、ロープ結びを教わる
自分はまず実技から。まず教わるのは船舶免許と同じく「ロープの結び方」。これがどうもスンナリとはいかない。「もやい結び」「ひとえつなぎ」「まき結び」「クリート止め」と4種類のロープワークを覚える必要があり、翌日のテストでも1つを試験官からやるよう言われるから必ず覚えなければならない。一緒に受講している人たちは無難にこれをこなしていて、難しいと感じるのは筆者が極端に不器用だからなのだろう。

次は発航前船艇の点検。つまり水上バイクに異常がないかなどをチェックする。これも実技試験にあるから、各部をしっかり点検できるよう名称や働きをしっかり頭に入れておく。

そしていよいよ水上バイクに乗る。もちろん運転するのは生まれてはじめてで、間近で見たことさえないし、仕組みや運転方法もまったく知らない。少し予習しておけば良かったと後悔するが、インストラクターが親切丁寧に教えてくれたので戸惑わずに済んだ。

陸上で乗るバイクと違って、スロットルはグリップを捻るのではなく、右手のレバーで操作する。シフトチェンジはなく、クラッチ操作がないから運転はバイクより簡単だと感じた。

推進力はジェットポンプの噴流によって得られ、エンジンと連動してインペラが回転し、船底から水を吸い込み、その水を勢いよく後方に噴射している。

ハンドルを左右に切ったぶんだけ、船尾で水に潜っているジェットノズルも左右に向きを変え、水上バイクの進みたい方向を操れる。バックしたいときはリバースゲートなるもので噴流を遮り逆噴射させるといった構造で、なるほどシンプルだ。

バイクジャーナリストでも未経験の気持ち良さ

いよいよ教官と2人乗りし、ライディングを教わる。6個のブイを使ってコースが設定されており、コース1の試験では「発進→直進→単旋回→危険回避→停止」を、コース2では「発進→8の字旋回→スラローム→停止」が、要所での安全確認を含めきちんとできているかを見極められる。

ライディングはもう雄叫びを上げたいくらいに面白い。教官がリアシートに乗っているから叫ぶのはやめておいたが、海の上を疾走する感覚は今まで感じたことのない感動体験であった。

慣れ親しんだバイクと共通するのは、ニーグリップが肝心で、行きたい方向へ視線を向けることと身体を使って車体の動きをリードしていくことのような気がした。

転覆することはまずないが、ライフジャケットの着用が義務付けられていて、あとは濡れてもいい格好ならOK。サンダルはNGで、自分はマリンシューズを用意した。実際に濡れたのは、講習でも試験でも足もとだけだった。

筆者は大型2輪取得が限定解除世代だったから、意味があったのかなかったのかはわからないが、声を出して安全確認するという試験官へのアピールは自然にできた。限定解除のときもそうだったが、速度を上げるべきところも試験中にあり、そういうメリハリみたいなのが大事だったように実技試験をクリアしてみて感じた。

最後は「人命救助」で、これは試験官がブイを投下し、それを要救助者に見立てて拾い上げるという試験。浮いているブイにぶつかっていくつもりで近づいていくと、水上バイクをうまくブイに寄せることができた。ブイを拾い上げるのは、右からでも左からでもいい。
成功し思わず“ドヤ顔”の青木氏
◆久々の「勉強」、試験の結果は…

学科は侮れない。講習で試験に出そうなところを早足で教えてくれるが、申込時にもらえるテキストをさらに読み込み、試験前に問題集を解いておく必要があった。

とはいえ、いずれも難問ではなく、勉強しておけばクリアできるといった印象。逆に言えば、勉強しておかないと合格できないだろう。操縦にあたっての心得、交通の方法、運行のルール、合計40問400点の筆記試験だ。

1日目の講習を終え、帰宅してからはロープワークを繰り返し練習してから、全597問を収録した問題集をコツコツと解いた。夜遅くまで勉強した甲斐あって学科を無事にクリア。実技も無難にこなし、4日後に公式サイトにて自分が試験に合格していることを知った。思わずガッツポーズ!

免許証を受け取る手続きはスクールで代行してくれ、あとはライセンスが送られてくるのを待つのみだ!!

思い返せば、なかなかにして楽しい2日間であったし、達成感もある。試験終了後にその気持ちをインストラクターに伝えると「楽しいのはこれからですよ!」と返された。その通りだ、自分の水上バイク体験は、いまスタートしたばかりである。
教習艇の水上バイクと青木タカオ氏。無事、免許取得に成功した
協力 ヤマハボート免許教室、KMC横浜マリーナ

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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